誰も知らない日本軍守備隊の最高指揮官・栗林中将の「最期」…硫黄島の戦いの「大きな謎」

AI要約

硫黄島での日本兵1万人の謎の消失や出来事について詳細に説明されたノンフィクション作品が11刷される。

JYMAの収集団に参加するための研修やテストについて述べられ、遺骨収集の重要性が強調される。

疑問や重要なポイントに対する追試の必要性と、自己反省や準備不足に対する恥ずかしさが描かれる。

誰も知らない日本軍守備隊の最高指揮官・栗林中将の「最期」…硫黄島の戦いの「大きな謎」

なぜ日本兵1万人が消えたままなのか、硫黄島で何が起きていたのか。

民間人の上陸が原則禁止された硫黄島に4度上陸し、日米の機密文書も徹底調査したノンフィクション『硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ』が11刷決定と話題だ。

ふだん本を読まない人にも届き、「イッキ読みした」「熱意に胸打たれた」「泣いた」という読者の声も多く寄せられている。

何はともあれ職場の了承という最後の壁は乗り越えられた。僕はJYMAの担当者に、収集団に参加できると連絡した。担当者からは、派遣前に2日間の勉強会に参加することと、その日までに人骨の各部位の名称などを勉強しておくこと、与えられた課題についてのレポートを勉強会当日に提出することを求められた。

レポートの課題は二つだった。一つは「米軍の硫黄島攻略の意義は何であったのか。その目的を3つ以上挙げて説明せよ」。もう一つは「硫黄島の地上戦における日本軍の戦術転換の原因について、例を挙げて説明せよ」だった。まるで学生時代に戻ったように暗記やレポートの執筆に取り組んだ。JYMAは、あくまで学生が主体の団体なのだと思い至った。

研修は文京区のビルの一室にあるJYMAの事務所で行われた。初日は、研修担当の学生が講師となった。学校にあるような人骨の模型を使って、それぞれの部位の特徴について教わった。終了後にはペーパーテストが行われた。

問1は「人間に一つしかない骨を挙げよ」だった。これは遺骨収集する上で極めて重要な設問だと、後に僕は知ることになる。現地では複数人の遺骨が入り交じって見つかることがある。その場合、仙骨や下顎骨など「一つしかない骨」の数は、見つかった骨の人数を判断するための重要な手がかりとなるからだ。

全59問中、不正解は6問だった。正解率は9割で、我ながらよく頑張ったと得意顔になった。しかし、講師役の学生は非常に残念な顔をし、「酒井さん、明日、追試しますから。しっかりと復習してください」とぴしゃりと言った。夢の硫黄島上陸が決まり、浮かれていた自分が心底、恥ずかしいと思った。