「うわあああ」何度も悲鳴を上げ…「不発弾」だけではない硫黄島の「意外な危険なもの」

AI要約

硫黄島での遺骨収集に参加した人々の様子を通じて、遺族やボランティアの思いや行動が描かれる。

遺骨収集に参加する中での思いや、遺骨探しを通じての意義や苦悩が明かされる。

硫黄島での作業現場や遺骨収集への熱意、またその中で起きた人間模様が語られる。

「うわあああ」何度も悲鳴を上げ…「不発弾」だけではない硫黄島の「意外な危険なもの」

なぜ日本兵1万人が消えたままなのか、硫黄島で何が起きていたのか。

民間人の上陸が原則禁止された硫黄島に4度上陸し、日米の機密文書も徹底調査したノンフィクション『硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ』が11刷決定と話題だ。

ふだん本を読まない人にも届き、「イッキ読みした」「熱意に胸打たれた」「泣いた」という読者の声も多く寄せられている。

遺骨収集団に参加した遺族の中には、最後まで十分な対話ができなかった人も数人いた。遺族の一人が理由を教えてくれた。彼が話したのは、遺骨収集団にボランティアが大勢参加できた約10年前のことだった。

「ボランティアの中には、いかにも物見遊山で硫黄島に来た、という人たちが少なからずいたんです。慰霊が目的ではなく、珍しい風景を見たいから来たという人たち。今回のボランティアの人たちだって、もしかしたらそういう人かもしれない、という思いを抱いてしまうんですよ」

収集団員の中には、別の理由で一度、僕との会話を避けた男性もいた。ボランティアとして長年、参加し続けている男性だった。遺族ではないが、多くの遺骨が残されたままの現状に対する問題意識が強い人だった。

これも5日目のことだ。遺骨収集団員は毎朝、自衛隊の庁舎が並ぶ地区にある宿舎の前からマイクロバスに乗り、作業現場に向かう。バスを降りた直後のタイミングで、僕がその男性に話しかけると、返答はなかった。今、話しかけるな、という表情だった。対話を拒否された。

男性は休憩時間に、拒否した理由についてこう話した。

「私はね、バスを降りた瞬間から、ずっと下を向いて歩いているんですよ。この島はどこに遺骨があってもおかしくない島なんですよ。私はまだ遺骨は見つけていないけど、これまでに銃弾2発を見つけましたよ」

常に遺骨を捜そうという強い意志を知り、無視されたのだと立腹した自分を恥じた。男性は遺骨収集への参加を続けるために、会社勤めをやめて自営業を始めたとも話した。この男性以外のボランティアとも対話したが、皆、遺骨収集に役立ちたいという強い思いを持った人たちばかりで、物見遊山で来たという印象の人は一人もいなかった。