排水溝に迷い込んだ女児、救ったのは5歳の少年「中から声がするよ」

AI要約

幼稚園児の謙蔵ちゃんが海岸でカニとりをしている際、排水溝から泣き声を聞き、救助活動を行う。

謙蔵ちゃんの大声と周囲の助けで救急隊が到着し、排水溝の中で約80メートル離れた場所にいた女児を救出。

謙蔵ちゃんと助けた安斎さんは感謝状を受け取り、謙蔵ちゃんは将来の夢を語る。

排水溝に迷い込んだ女児、救ったのは5歳の少年「中から声がするよ」

 「トンネルの中からキャーという響く声がするよ」。神奈川県鎌倉市の腰越海岸にカニとりに来ていた幼稚園児の角(かど)謙蔵ちゃん(5)は、漁港の岸壁にあるトンネルのような排水溝から漏れた小学生の女児の泣き声を聞き逃さなかった。排水溝に向かって「おーい。大丈夫?」。小さな体で大きな声を張り上げた。

 謙蔵ちゃんは7月29日、両親と近所の海へ。カニとりの後、砂浜で体を温めていると、数メートル先の排水溝から泣き声がして、母親の加奈子さん(36)に知らせた。父親の浩太さん(38)が体をかがめて幅1・5メートルの排水溝に入ったが、足元に藻があり、暗くて先が見えない。砂浜から家族と魚を見ていた会社員の安斎慶さん(37)=さいたま市西区=が異変に気付いて110番通報した。

 安斎さんらは声のする方に向かって「もうすぐ救急隊が来るよ」と励まし続けた。女児は誤って排水溝に入り込み、約80メートル先にいた。救助された時には泣きやみ、けがはなかったという。

 鎌倉署は8月6日、謙蔵ちゃんと安斎さんに感謝状を手渡した。謙蔵ちゃんは森文男署長からパトカーの缶のお菓子を贈られ、加奈子さんから「人の命を助けるのはすごいこと」とほめられた。将来の夢は「江ノ電の運転士」だという。(村上潤治)