いじめで長期欠席も「重大」認定せず、市長報告もなし 専門家は「違法」と指摘

AI要約

京都市立小に在籍していた男子生徒(14)がいじめを受けて長期欠席を余儀なくされたが、市教育委員会が重大事態に認定していなかったことが明らかになった。

生徒は同級生からのいじめで心身の不調を訴え、訴訟を提起。いじめによる欠席が30日以上に及んだ。

専門家は市教委の対応を違法と指摘し、市教委は生徒と保護者に謝罪を検討中。

いじめで長期欠席も「重大」認定せず、市長報告もなし 専門家は「違法」と指摘

 京都市立小に在籍していた男子生徒(14)がいじめを受けて長期欠席を余儀なくされたにもかかわらず、市教育委員会がいじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」に認定していなかったことが、市教委への取材で分かった。同法はいじめによる長期欠席は重大事態として対応するよう規定しており、専門家は市教委の対応を「違法」と指摘する。市教委は「手続きに不備があった」として、生徒と保護者への謝罪を検討している。

 生徒は、いじめによって心身の不調を引き起こされたなどとして、元同級生2人に計300万円の損害賠償を求め京都地裁に提訴している。訴状によると、生徒は京都市立小で4~6年生だった2019~21年に、持ち物を机から勝手に持ち出されて壊されたり、先天性の障害で速く走れないことをはやし立てられたりするいじめを同級生から受け、6年時は30日以上欠席した。

 市教委によると、生徒の訴えを受けて元同級生らのいじめを把握していたが、重大事態の認定は見送り、市長への報告や第三者による調査を行わなかった。生徒指導課は「いじめによる欠席ととらえきれていなかった。今から考えると重大事態と判断すべきだった」とし、生徒と保護者に謝罪する意向を示している。

 全国のいじめ疑い事案に携わる石田達也弁護士(滋賀弁護士会)は「客観的な調査を通じていじめの原因を探り、子どもの学習権を回復する道筋を示すのが教育行政機関の役割のはずだ。いじめによる長期欠席が疑われる段階から重大事態として対処するとの規定がある以上、教育委員会は認定する義務があった」と指摘している。

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 いじめの重大事態 いじめ防止対策推進法は、児童・生徒が生命や心身、財産に被害を受けたり、長期欠席を余儀なくされたりした疑いのある事案を「重大事態」と定義。文科省や自治体への報告が学校・学校設置者に義務付けられており、速やかに事実関係を調査し被害者側に情報提供するよう求めている。