花火大会 再開・中止 どちらも住民の声 自治体の対応はなぜ違う?

AI要約

福知山市の花火大会が11年ぶりに再開され、安全対策のもと規模を縮小して開催されることになった。一方、徳島県鳴門市の納涼花火大会は住民からの苦情を受けて中止となった。

地域の夏のイベントが住民の声によって開催の可否が決定される現象について、地方自治制度の専門家が解説した。

自治基本条例の存在は、市民の声を反映した地域づくりの指針であり、花火大会の事例もその一端と言える。

花火大会 再開・中止 どちらも住民の声 自治体の対応はなぜ違う?

この夏、京都府福知山市の花火大会が、11年ぶりに開催される。小学生を含む3人が死亡、55人が重軽傷を負った事故が起こり中止されてきたが、再開を求める住民の声を受け、さまざまな安全対策をした上で、規模を縮小し再開されることになった。

一方、徳島県鳴門市で、毎年開かれてきた夏の風物詩「納涼花火大会」が中止になった。落ちてくる花火の燃えかすに、住民から多くの苦情が寄せられていたが、対策が難しいため、今年は中止を決めたという。

どちらも、地域の夏の一大イベント。開催の有無に住民の声が大きく反映された形だ。

地域住民との向き合い方は、自治体ごとに相当な違いがあるという。地方自治の現状について、弁護士で地方自治制度が専門の、神奈川大学法学部・幸田雅治教授に話を聞いた。

【神奈川大学 幸田雅治教授】

福知山市と鳴門市に共通しているのは「自治基本条例」です。これは、言ってみれば「自治体の憲法」のようなもの。市民を中心としたまちづくりを進めていくためのルールで、その自治体における市政運営の指針となるものです。福知山市と鳴門市は、それぞれ「自治基本条例」が制定されています。

地方自治に関する法律としては、「地方自治法」がありますが、これは全国画一の共通ルールです。自治体ごとに状況や課題は大きく異なるため、自分たちの町をどのように築いていくか、地域に合わせたルールを作りましょうというのが「自治基本条例」なのです。

花火大会の件は、もちろんそれだけが要因ではないでしょうが、「自治基本条例」を作っているかどうかは、住民の意見をしっかり聞こうという意識の大きさの、ひとつの指標になると言えます。

平成13年に北海道ニセコ町が最初の「自治基本条例」を制定してから20年余り。

全国での制定率は22.9%(令和5年10月1日時点)、全国自治体の409団体(道府県が3団体、市区町村が406団体)です。

自治基本条例は、平成10年代後半以降、全国に広がっていきましたが、平成20年代後半以降、伸びが鈍化しています。理由は色々あると思いますが、自民党が反対しており、地方議会で自民党が過半数を占める所は否決されています。自民党内には「自治基本条例は最高規範になっているが、日本国憲法が最高規範であって、自治基本条例が最高規範になるのはおかしい」という議論がありますが、そもそも自治基本条例は憲法の上に立つものではありません。