絶海の孤島・青ヶ島の住民の「選挙権が剥奪されていた」不幸で悲しい歴史

AI要約

青ヶ島は東京都の中でも「秘境」として扱われることが多い離島である。島の現状を知る人は少ないが、青ヶ島在住の女性がYouTubeで情報を発信し注目されている。

4年前にはバラエティー番組で「島から一歩も出たことない人」を探し、高齢男性が登場し話題となった。当時1956年まで青ヶ島の住民は選挙権が剥奪されていた歴史を持っていた。

選挙権剥奪の理由や背景について『ヤバい選挙』という本からの情報も紹介され、絶海の孤島の不幸な歴史に触れられた。

絶海の孤島・青ヶ島の住民の「選挙権が剥奪されていた」不幸で悲しい歴史

 青ヶ島は東京都の中でも「秘境」として扱われることが多い離島である。行くのにも一苦労という場所だけに、島の現状を知る人は多くない。

 しかし最近、青ヶ島在住の女性が積極的に島からの情報をYouTube(青ヶ島ちゃんねる)で発信していることもあり、以前よりも注目が集まっているようだ。このチャンネルは、登録者数が18.6万人というから立派な人気チャンネルと言っていいだろう。人気が高い動画の再生回数は200万を超えている。

 実はこの島、4年ほど前にも全国的な関心を集めたことがあった。

 きっかけは人気バラエティー番組「水曜日のダウンタウン」(TBS系)。

 その中で伝説的に語り継がれる回の一つが、青ヶ島を舞台とした「島から一歩も出たことない人」を探した回だろう。これだけ交通機関が発達した現代において、いかに離島の島民だろうと、ある程度の年齢になれば一度くらいは島外に出向いたことがあるはず……そんな視聴者の予想を覆したのが、番組スタッフが東京都・青ヶ島で遭遇した“仙人”である。

 地元の人からの情報により、スタッフは男性のもとを訪ねる。が、目の前に現れた白髪で白いひげを長く伸ばした高齢男性は、スタッフに対して強い警戒心を示し、「この野郎」とばかりに金づちを片手に追いかけて来るのだ。顔にはモザイクもかかっておらず、令和の時代のテレビとは思えぬ衝撃映像は、大きな波紋を呼んだ。

 その後、取材を進めるうちに落ち着いてきた“仙人”は、父母の面倒を見なければいけないこともあって、高齢となるまで島から一歩も出たことがない旨をとつとつと語る。

 追いかけて来た姿の衝撃に加えて、そのような人物が今なおいることに驚きを感じた視聴者も多いことだろう。

 しかし、この青ヶ島の歴史を知る人にとっては、そこまでの驚きはなかったかもしれない。伊豆諸島の孤島である青ヶ島の住民は、戦後しばらくの間、何と1956年まで選挙権が剥奪されていたという歴史を持つのである。

「剥奪」は決して比喩ではない。公職選挙法には、このような条文があったのだ。

「東京都八丈支庁管内青ヶ島村においては、衆議院議員、参議院議員、東京都の議会の議員若しくは長または教育委員会の委員の選挙は、当分の間、行わない」

 なぜこのようなことが許されたのか。選挙についての珍しいエピソードを集めた『ヤバい選挙』(宮澤暁・著)をもとに、絶海の孤島の不幸な歴史を見てみよう(以下、引用はすべて同書より)

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