自民内に車座対話の「総括」求める声 岸田首相が対応に苦慮、退陣論を警戒

AI要約

岸田文雄首相と自民党周辺が派閥のパーティー収入不記載事件の後処理に苦慮している。

車座対話では首相への厳しい意見や責任論が噴出し、退陣論が勢いづく可能性もある。

党内からの要求に応じ、総括を行う方針であり、不記載事件への批判に全面的に向き合う構えも示している。

自民内に車座対話の「総括」求める声 岸田首相が対応に苦慮、退陣論を警戒

岸田文雄首相(自民党総裁)と周辺が、派閥のパーティー収入不記載事件を受けて全国で開いてきた「政治刷新車座対話」の後処理に苦慮している。党内から総括を求める声が上がるが、車座対話では首相への厳しい意見も噴出した。再選を目指す9月の総裁選を前に退陣論が勢いづくことを警戒する向きがある。

「茂木敏充幹事長と(相談して)どのように総括していくのか決める」

首相は1日、自民の鈴木貴子青年局長らと官邸で面会した際、こう述べた。鈴木氏ら若手で構成する青年局のメンバーは、車座対話の早期総括を求める提言書を首相に手渡した。

車座対話は首相ら党執行部が全都道府県に赴き、地方組織や党員からの声に耳を傾けるのが狙いだ。これまで45都道府県を回り、残るは茨城、福島の2県となっている。

自民は平成21年の衆院選で野党に転落した際、当時の幹部が「ふるさと対話集会」と称して全国を回って信頼回復に努め、政権奪還につなげた経緯がある。車座対話は〝二匹目のドジョウ〟を期待したとみられるが、狙い通りにいったとは言い難い。

「トップが責任をとるべきではないか」

群馬県で5月に開かれた車座対話では、出席者から首相への厳しい声が上がった。長野県でも県連幹部が「執行部の顔触れを一新してほしい」と発言するなど、各地で責任論が相次いだ。車座対話を総括する場合はこうした声にも向き合わざるを得ない。

党内では全国会議員が参加できる「政治刷新本部」を開いて総括を行う案が浮上しているが、ある党幹部は「官邸が嫌がっている」と明かす。総裁選が近付く中、首相に批判的な議員による「岸田おろし」の格好の舞台となりかねないためだ。

もっとも、不記載事件への批判に関しては首相ら執行部のみならず、党全体で向き合うべきだとの声は根強い。自民重鎮は「地方の声を政争の具に利用すれば、自民自体が失望されるだけだ」とクギを刺した。(竹之内秀介)