「中国のジェノサイドは続いている」 世界ウイグル会議が国際社会の関心低下に危機感

AI要約

ウイグル人組織が中国による弾圧を訴える

国際社会の関心が薄れる中、中国が中東情勢を利用

米国やカナダなどでウイグル問題に関する法案が進展

「中国のジェノサイドは続いている」 世界ウイグル会議が国際社会の関心低下に危機感

亡命ウイグル人組織「世界ウイグル会議」(本部・ドイツ)の実質ナンバー2、オマール・カナト実行委員長がこのほど来日し、中国当局によるウイグル人弾圧への対応を巡って超党派の「日本ウイグル国会議員連盟」(古屋圭司会長)幹部と意見交換した。カナト氏は、中東情勢の緊迫化でウイグル人弾圧に対する国際社会の関心が薄れる状況を中国が利用していると指摘し、「ウイグルジェノサイド(集団殺害)は今でも続いている」と訴えた。主な発言は次の通り。

昨年10月の(イスラム原理主義組織)ハマスのイスラエルに対する攻撃以来、世界中の関心が中東に向き、ウイグル問題に対する認識が薄くなってしまったという状況がある。

中国はこれをチャンスとして捉えて、どんどん中東への影響力を強め、ウイグル問題に対する中東諸国の関心も含め、自らに都合のよい方向にもっていっている。ウイグル問題を忘れさせ、私たちを孤立させるために、ありとあらゆる手を打っている。特に中東諸国、イスラム諸国において、ウイグル問題が一切扱われないようにするために、中国は妨害活動を日に日に強めている。

こうした中で、世界ウイグル会議は、ウイグル人に対する中国のさまざまな犯罪行為の実態を世界に知らせて、訴えていく活動を続けている。いくつか大きな進展もあったので、情報共有したい。

米国で2つの法律ができた。一つは(ウイグル人弾圧に関与した当局者に制裁を科す)ウイグル人権法。もう一つは(中国新疆ウイグル自治区からの物品輸入を原則禁止する)ウイグル強制労働防止法だ。

最近、米国の政府関係者と面会する機会があったが、ウイグル強制労働防止法の施行後、これまでに4000万ドル以上の商品を税関で取り押さえた、あるいは送り返したとのことだった。

そして米議会では、ウイグル問題に関する法案が新たに2つ審議中だ。

1つはウイグル政策法案で、これは上院をすでに通過し、下院も9月に通過する見通しになっている。もう1つは、国境を越えた迫害に対応するための法案だ。ウイグル人に対するさまざまな迫害や弾圧は国内にとどまらず、世界中のウイグル人に、国境を越えた(中国当局の)迫害の手が及んでいる。この法案は、そうしたことを背景に提出された。

2023年にカナダ下院が世界中に散らばっているウイグル人避難民1万人の受け入れを政府に求める動議を可決した。複数回に分けて移住させるのだが、その第1弾が、もう少しでカナダに到着する見込みだ。