「輪中堤」完成も“数百年に一度レベルの大雨”を超える大雨で最上川本流はん濫 戸沢村蔵岡地区が再び浸水被害【山形発】

AI要約

7月25日からの大雨で集落全体に被害があった戸沢村蔵岡地区。過去に何度も浸水被害があり、その対策としての堤防「輪中堤(わじゅうてい)」が2023年完成したばかりだった。

戸沢村蔵岡地区では最上川の本流がはん濫し、集落全体が水にのまれた。押し寄せた水の高さは、住宅の2階にまで達した。

27日、川の水が上がり集落全体が水に浸かった地区を見ると、道路が陥没し通れなくなっている。街の中には水は引いても泥が至る所に残っている状態だった。

「輪中堤」完成も“数百年に一度レベルの大雨”を超える大雨で最上川本流はん濫 戸沢村蔵岡地区が再び浸水被害【山形発】

7月25日からの大雨で集落全体に被害があった戸沢村蔵岡地区。過去に何度も浸水被害があり、その対策としての堤防「輪中堤(わじゅうてい)」が2023年完成したばかりだった。しかし今回は想定を超えて最上川の本流がはん濫した。繰り返される被害に住民からは「またか」と、やるせない声が聞かれた。

戸沢村蔵岡地区では最上川の本流がはん濫し、集落全体が水にのまれた。押し寄せた水の高さは、住宅の2階にまで達した。

住民・中村健一さんは「ああ、跡がある。あそこくらいまで水が上がったのかな。人の背も超えている」と当時の水位が高いところまであがっていたことを話す。

27日、川の水が上がり集落全体が水に浸かった地区を見ると、道路が陥没し通れなくなっている。街の中には水は引いても泥が至る所に残っている状態だった。

蔵岡地区は、これまでも何度も浸水被害を受けてきた。

これまでの浸水被害は、集落を流れる最上川の支流「角間沢川」の水が、最上川の本流に流れ込めずあふれてしまう「内水氾濫」によるものだった。

2018年の内水氾濫時には、住民たちは「半分もうあきらめ。雨が降るたびに安心できない」や「いつまで続くんだろう…と。何していいか、とにかくもうわからない」といった声を上げていた。

内水氾濫の対策として、県が示した切り札が「輪中堤」だ。最上川本流沿いに走る国道47号には、堤防としての役割もある。

これに加え、県は高さ最大3メートル・約1kmに渡って集落をぐるりと取り囲んで水の侵入を防ぐ「輪中堤」を、2023年、約14億円かけて完成させた。

ただし、輪中堤の建設には、土地の確保のため一部の住民が移転や田んぼを手放す必要があり、計画が持ち上がった当時は住民から複雑な声も上がった。

2019年のインタビュー/住民・中村健一さん:

農家としては反対だが、住民としては賛成。自分だけだったらわがままを言えるが、お年寄りから子どもまでいるので。

2023年3月、期待の「輪中堤」が完成。集落には安心感が生まれたという。