「18禁の激辛ポテチ」原料は"化学兵器"になっていた…インドで生まれた「世界最恐の唐辛子」の恐ろしい使い道

AI要約

高校生14人が激辛チップスで救急搬送される

ブートジョロキアは最も辛いトウガラシで兵器にも使用される

ブートジョロキアの辛さは世界記録に挑戦するほど強烈

■14人の高校1年生が救急搬送された

 トウガラシ成分を使った食品の危険性が注目を集めている。東京都大田区の高校では7月16日、トウガラシの一種「ブートジョロキア」の成分が入った激辛チップスを食べた生徒14人が、病院へ搬送された。

 ブートジョロキアは、世界で最も辛いトウガラシの一つとして知られている。インドのアッサム地方で栽培されており、トウガラシの辛さを示すスコヴィル値は約100万1304に達する。一般的なハラペーニョの約2500~8000と比較して、最大400倍という圧倒的な高さだ。

 その特性から、主な栽培国となっているインドでは、テロ対策や暴動鎮圧用の兵器にさえ利用されている。激辛ブームに乗って興味本位で口にすると、体調に異変を来しかねない。

■強烈な刺激は「効果的な武器」になる

 ブートジョロキアの辛さは、単なる料理のスパイスとしてだけでなく、軍事や防犯の分野でも利用されるほど強烈だ。

 インドの防衛研究開発機構(DRDO)の生命科学部門のディレクター、R.B.スリヴァスタヴァ氏は2010年、英ガーディアン紙に対し、「このトウガラシの辛さは、テロリストを窒息させ、隠れ家から追い出すのに非常に効果的です」と述べている。

 スリヴァスタヴァ氏は、オンラインメディアのエスケーピストの取材に、「この武器は確実に、効果的な非毒性の武器になります」と、兵器としての有効性を強調する。氏はまた、「その強烈な臭いはターゲットを嘔吐させ、目は地獄のように燃えるが、長期的なダメージは残りません」とも加えた。

 人体への強烈な作用と、後遺症の少なさから、インド軍はブートジョロキアをスモークグレネード(煙幕弾)として利用できないか検討してきた。タイムズ・オブ・インディア紙は2016年、スモークグレネードやテロリストのあぶり出しに利用するべく、プロトタイプが開発されたと報じている。ブートジョロキアの種子を挽いて手榴弾に詰め込んだもので、6万個が発注された。

 米ワイヤード誌は、厳密にはブートジョロキアは化学兵器に分類されるほどだと述べている。

■辛さはタバスコの400倍、世界一のギネス記録に…

 ブートジョロキアを含むトウガラシの辛さの原因は、カプサイシンと呼ばれる化学物質だ。ブートジョロキアのスコヴィル値約100万は、次いで辛いメキシコの「レッドサビナ」の約2倍、タバスコ・ソースの400倍以上に相当する。

 ブートジョロキアはインドの現地名であり、その辛さから英名では「ゴーストペッパー」とも呼ばれる。2006年には世界で最も辛いトウガラシとして、ギネス世界記録に認定された。ブートジョロキアは2011年まで記録を保持していたが、現在は近縁種にあたる「キャロライナ・リーパー」(スコヴィル値はおよそ倍の約220万)がギネス記録を保持している。

 その強烈な辛さに反して、ブートジョロキアの生育条件は繊細だ。イギリスのベッドフォードシャーでブートジョロキアを生産しているサルヴァトーレ・ジェノヴェーゼ氏は、英BBCに、「このトウガラシは非常に育てるのが難しく、長い時間がかかる」と述べている。彼の農場では約7万本のトウガラシが栽培されており、そのうち約1000本がブートジョロキアだ。

 強烈な辛さに耐えられる人は少ない。英スーパーマーケット・チェーン「テスコ」のエキゾチック野菜バイヤー、ハリー・ジョーンズ氏は、「このトウガラシを食べると、30秒以上にわたって灼熱が続きます。心臓の弱い人には向かないでしょう」と述べる。

■数時間にわたり視力を奪われ、呼吸困難に

 強烈な刺激を放つブートジョロキアは、兵器の他にも、さまざまな用途への応用が研究されている。

 米フォックスニュースは2010年の時点で、女性が暴漢に対して使用するスプレー型の護身製品も試験中だと報じている。また、野生動物の撃退にも効果があるほか、軍隊の兵舎周辺のフェンスに塗る計画もあるなど、防衛目的でも使用されている。

 ワイヤード誌によると1992年までに、2000以上の警察機関がOCスプレーを使用していた。OCスプレーとは、カプサイシンを主成分とするもので、即座に皮膚や粘膜の炎症を引き起こし、強制的に目を閉じさせ、呼吸を困難にする効果がある。