デジタル庁幹部が実名証言 携帯電話契約の本人確認「マイナンバーカードで一本化するわけではない」 

AI要約

政府が携帯電話の契約時にマイナンバーカードの一本化を示唆したことにより批判が巻き起こった。

メディアが政府の方針を誤解し報道し、デジタル庁も否定コメントを発表する事態となった。

取材を重ねた後、誤解を解くためデジタル庁の幹部との再度の取材が実施された。

デジタル庁幹部が実名証言 携帯電話契約の本人確認「マイナンバーカードで一本化するわけではない」 

 6月18日、政府は携帯電話を「非対面」で契約する場合の本人確認方法を、原則としてマイナンバーカードに一本化する方針を示した。これを受けてAERA dot.も同月21日に<携帯契約に「原則マイナンバーカード必須」に批判殺到 デジタル庁は「一本化は考えていない。政府の伝え方が悪い」と困惑>との記事を掲載。世間の反応や識者の見解をふまえ、デジタル庁にも取材をして記事化した。だが後日、デジタル庁の担当者から「誤りがある」と記者に連絡があった。当然、AERA dot.は取材に基づいて記事にしていることを伝えたうえで、改めてデジタル庁の幹部に取材し「どこが誤りなのか」を聞いた。

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 まず、記事の発端となったのは、6月18日に首相官邸で開催された「犯罪対策閣僚会議」における政府の発表だった。携帯電話の不正利用が詐欺事件に悪用されていることなどをふまえ、携帯電話を「対面」で契約する際は、本人確認方法として、マイナンバーカードなどに搭載されているICチップの読み取りが義務付けられた。さらに「非対面」での契約の際には、運転免許証の画像を送信する方法などは廃止し、原則としてマイナンバーカードに一本化すると決定した。

 これを受けて、複数のメディアが携帯契約の際は「マイナンバーカードが必要になる」というトーンで報道すると、SNSでは、「マイナンバーって(作成が)自由ではなかったの?」「なかば強制的にマイナンバーカードを持たされるということだよね?」など政府への批判が相次いだ。

■「オフレコ前提で話したこと」

 AERA dot. も6月21日、<携帯契約に「原則マイナンバーカード必須」に批判殺到 デジタル庁は「一本化は考えていない。政府の伝え方が悪い」と困惑>と題した記事を公開した。同記事では、世間からの相次ぐ批判や識者の見解についてデジタル庁にも取材。担当者から回答を得て次のようにコメントを掲載した。

「”非対面”での携帯電話の契約などで、本人確認をマイナンバーのICチップに一本化することは考えていません」

「政府側の伝え方が悪かったことで、一部のメディアがミスリードしてしまった側面がある」

 すると記事の公開後、デジタル庁広報から記者に連絡があり「記事の内容に一部誤りがある」と伝えられた。話を聞くと、デジタル庁としては「政府の伝え方が悪かったとは思っていない」「メディアのミスリードがあったとも考えていない」とのことだった。記者は電話取材でデジタル庁の広報担当者から回答を得ていることを説明したうえで、デジタル庁が「誤りがある」と主張するのであれば、責任者が対面で取材に応じるよう申し入れた。

 そして7月18日、改めてデジタル庁の幹部に取材をすることになった。

 東京・千代田区にあるデジタル庁のオフィスで取材に応じたのは、上仮屋尚(うえかりや・たかし)参事官。まず、「(デジタル庁として)政府の伝え方が悪かったり、メディアがミスリードを起こしていたという認識はない」と明言し、AERA dot.が記事に掲載したコメントを否定した。それに対して、記者は電話取材の際は社名を名乗り「取材であること」もはっきりと伝えたと述べると、同庁の広報担当者は「オフレコ前提で話したことで(記者と取材を受けた広報担当者との認識が)食い違って、(広報が)ミスリードや政府の伝え方が悪いなどの話をした可能性がある」と返答した。