今の児童を見守る「生きた証し」 和歌山毒物カレー事件から26年

AI要約

和歌山市の夏祭り会場で1998年に発生した毒物カレー事件の悲劇と、その被害者への追悼の様子が語られる。

事件の容疑者である林真須美死刑囚の一貫した否定と、事件の動機が解明されないまま裁判が進んだ経緯が述べられる。

現在は悲劇の現場が空き地となり、慰霊行事も開かれていないが、地元の小学校では犠牲になった男児をしのんで植えられた木が地域の子供たちの「生きた証し」として育っている。

 和歌山市の夏祭り会場で1998年、4人が死亡した毒物カレー事件は、25日で発生から26年となった。林真須美死刑囚(63)は一貫して関与を否定し、裁判でも動機は解明されなかった。地元では事件を忘れたいとする声も根強いが、市内の小学校では犠牲になった男児をしのんで植えられた木が大きく成長し「生きた証し」として今の児童を見守る存在になった。8月には事件を改めて取材したドキュメンタリー映画が公開される。

 確定審では、カレー鍋への混入に使ったとされる紙コップに付着したヒ素が、林死刑囚の自宅で見つかったものと同一とする鑑定結果が示された。一方で動機は明らかにされず、最高裁は「動機が解明されていないことは、犯人であるとの認定を左右しない」とし、死刑判決が確定。林死刑囚はこれまで3回、再審請求し、うち2件が和歌山地裁と大阪高裁で審理が続いている。

 現場は現在空き地となり、25日も花などは供えられず、ひっそりとしていた。自治会による慰霊行事は10年以上開かれていない。