「推し」が「犯罪者」になったら…を描いた映画『成功したオタク』その舞台裏の葛藤に迫る

AI要約

韓国のドキュメンタリー映画『成功したオタク』の監督オ・セヨンが、事件発生から映画撮影中の葛藤や思いを記録した『成功したオタク日記』を上梓

映画は事件の後にファンの反応が大きかったことから制作され、ファンの対応の違いに興味を持つ監督が偶像化に関するテーマに絞って制作を進める

日本での反響も大きく、イベントに登壇した際にも自分の経験を共有した日本の方々に驚きを覚えた

「推し」が「犯罪者」になったら…を描いた映画『成功したオタク』その舞台裏の葛藤に迫る

あるK-POPスターの熱狂的ファンだったオ・セヨンは、「推し」に認知されテレビ共演もした「成功したオタク」だった。ある日、推しが性加害で逮捕されるまでは。

『成功したオタク』は、「推し」が「犯罪者」になった経験のあるファンにインタビューを行い、それぞれの声を拾い上げる韓国のドキュメンタリー映画だ。

オ・セヨン監督自身が、事件発生から映画撮影中の葛藤や思いを記録した『成功したオタク日記』が7月3日、上梓された。その中では、映画が「性加害の被害者への二次加害にならないように」というフェミニズム的連帯の思いもつづられている。そんな監督に、韓国フェミニズムの現状や作品が受けた批判、今後の作品の構想まで、くわしくお聞きした。

――『成功したオタク』は日本でも大反響でしたが、オ・セヨン監督も来日してイベントに登壇してみて、日本での反応で意外だったところはありましたか?

韓国と同じように日本の方たちも自分の経験を語ってくれました。それほど意外なことは多くなかったのですが、日本の方も、この映画に言及される俳優や歌手の人たちのことを知っていたし、事件のことまでよく知っていることに驚きました。

――映画を作るとき、どの程度まで結末を想定していたのでしょうか?

最初に企画したときと、出来上がった映画では、かなり違うものになりました。映画を作るきっかけとしては、事件の後にファンの反応が大きかったんです。こんなことをした人を、これ以上好きでいてはいけないと言う人と、それでもずっと応援し続けると言う人がいて、なぜここまでくっきり分かれているのかなということが不思議で映画を作り始めました。

なので、最初は「偶像化」についての映画にしようと思っていたんです。芸能人とファンとの間の話だけでなく、宗教や政治まで広げていこうと考えていました。でも作っているうちに、何かひとつに集中したほうがいいのではないかと思い、ひとつのテーマにフォーカスしていったんです。