もはや日本の「がん」…ウソだらけのストーリーをでっちあげ、威圧的に認めさせる「特捜部の杜撰な捜査」の全容

AI要約

日本の刑事司法の最大の闇といわれる「人質司法」。角川歴彦氏や村木厚子さんなど、冤罪事件の犠牲者が後を絶たない現状を明らかにする。

特捜検察が事件を作る手口や、村木厚子事件を通じて検察官がストーリーを強要する捜査方法について解説。

弘中惇一郎弁護士の著書から抜粋した内容を通じて、特捜検察の問題点を浮き彫りにする。

もはや日本の「がん」…ウソだらけのストーリーをでっちあげ、威圧的に認めさせる「特捜部の杜撰な捜査」の全容

日本の刑事司法の最大の闇といわれる「人質司法」。東京五輪をめぐる贈収賄事件で逮捕・起訴され、226日間にわたり勾留された、KADOKAWAの元会長・角川歴彦氏を始め、その犠牲者は後を絶たない。国民が唖然とする冤罪事件の犠牲となった村木厚子さんもその一人だ。

厚生労働省の局長(当時)だった村木さんは、大阪地検特捜部の杜撰な捜査によって逮捕され、約5ヵ月間も勾留される苦難を体験した。

村木さんの無実判決を勝ち取った「検察がもっとも恐れる男」弘中惇一郎弁護士が、特捜検察が冤罪事件を作り出した戦慄の手口20を明らかにしている。その中から手口1を特別に公開する。

【*本記事は弘中惇一郎『特捜検察の正体』(2023年7月20日発売)から抜粋・編集したものです。】

特捜事件が通常の刑事事件と違うのは、「事件を作る」という点だと思う。

通常の刑事事件は、殺人や放火などが実際に起こったから捜査をするわけだが、特捜事件では、事件を作るために捜査をするというケースが多々見られる。

事件のストーリーは検察官が考える。よく言えば「筋読み」だが、悪く言えば、妄想的に「ない事件」を考えてしまう。そこで重視されるのは供述調書である。

もともと特捜事件では証拠として供述調書の比重が高く、検察官は自分たちが描いたストーリー通りにうまく供述調書を作ろうと熱心に努力する。事件を作るには供述調書をどう書けばいいか、という発想なのだろう。被疑者や関係者への事情聴取も、単に話を聞くというのではなく、自分たちが作ったストーリーを高圧的に押し付けることが中心になりがちだ。

その典型が村木厚子事件だ。この事件が冤罪だったことは周知のとおりで、大阪地検特捜部の前田恒彦主任検事による証拠改竄があったことも広く知られている。

本記事では、村木事件をケーススタディにして、冤罪を生み出す検察官ストーリー強要捜査の手口について述べる。