上位者確保へ捜査員470人一斉捜索 大阪府警、SNS型投資詐欺グループのアジト急襲

AI要約

大阪府警がSNSを使った投資詐欺事件の捜査で、大規模な拠点摘発を行った。

府警は80人のグループが関わっていたとみられるビル4カ所を一斉捜索し、約470人の捜査員を動員。

国内の詐欺グループの拠点数は減少傾向にあり、海外拠点からの摘発が増加している。

上位者確保へ捜査員470人一斉捜索 大阪府警、SNS型投資詐欺グループのアジト急襲

交流サイト(SNS)を使った投資詐欺事件で、大阪府警は23日、グループ約80人が拠点にしていたとみられる大阪市内のビル4カ所の一斉捜索に乗り出した。動員した捜査員は約470人にのぼり、詐欺グループの拠点摘発では過去に例のない規模。会社事務所を装った拠点では、SNSでメッセージを送る「打ち子」らが活動していたとみられ、府警が今後詳しく調べる。

23日午後1時45分、府警の捜査員らがビル4カ所に同時に踏み込んだ。その一つは大阪市西区新町のオフィス街にあった。ビルに勤務する女性によると、複数の会社事務所や飲食店が入居し、倉庫として使われているフロアもあるという。

ビル内の会社に勤める70代男性は「20代や30代ぐらいの若者がビルに出入りする姿をよく見たが、何をしているかよく分からなかった」と困惑した様子。近くで働く会社員の男性(40)は「目の前の建物が犯罪の拠点となっていたと知りショックだ」と話した。

今回、警察当局が大がかりなアジトの一斉摘発に踏み切ったのは、特殊詐欺やSNS型投資詐欺の被害が深刻化する中、詐欺グループの上位者摘発に力点を置く捜査事情がある。「受け子」や「出し子」など末端メンバーを摘発しても、その後の捜査で上位者や首謀者にたどり着くのは難しく、実態を解明する上でアジト急襲は欠かせない。府警の捜査幹部は「組織を一網打尽にするためにも一気に急襲する必要があった」と話す。

ただ近年は中国や東南アジアを中心に海外に拠点を設けるのが主流で、警察当局が国内で摘発した詐欺グループの拠点数は減少している。令和元年は43カ所だったが、昨年は1都2府4県の15カ所にとどまった。

一方で、海外拠点の摘発は相次ぐ。元年にフィリピン当局がマニラ郊外の廃ホテルにあった日本人グループの「かけ子」の拠点を急襲、36人を拘束した。警察庁が今年2月に公表したデータによると、昨年中に海外の特殊詐欺拠点から国内に移送、摘発したのは69人で、元年以降で最多となった。