<独自>万博会場の猛暑対策 「静けさの森」の木陰をシミュレーションで最大化 熱中症即応

AI要約

2025年・大阪関西万博を運営する日本博覧会協会が、会場で実施する猛暑対策の概要が23日、明らかになった。熱中症の危険度が高い日を想定し、木陰の最大化や熱中症対応体制を強化する。

万博は8~9月に猛暑が予想されることから、熱中症リスクを警戒。暑さ指数に基づく対策を重視し、救急搬送や熱中症患者の発生に備える。

会場内には日陰を確保するための工夫や熱中症対策グッズの販売、診療所や救急車の待機など、総合的な対策が取られる予定。

<独自>万博会場の猛暑対策 「静けさの森」の木陰をシミュレーションで最大化 熱中症即応

2025年・大阪関西万博を運営する日本博覧会協会が、会場で実施する猛暑対策の概要が23日、明らかになった。協会は会期中の夏場に、熱中症の危険度が非常に高くなる日があると想定。会場の木陰をシミュレーションにより最大化するほか、熱中症患者に即応できる体制を取る。近年は健康リスクを高める異常な暑さが続いており、「いのち」をテーマとする万博は一層の対策が求められる。

万博は令和7年4~10月、人工島の夢洲(ゆめしま)(大阪市)で開催。ピーク時には1日最大22万7千人の来場を想定する。

協会などによると、大阪は例年、8月に気温が最も高くなる傾向があり、平成6年8月には過去最高気温の39・1度を記録している。

協会は、湿度や日差しの強さなどで熱中症リスクを示す「暑さ指数」(WBGT)について、会期中の8~9月に、「危険」と区分される31以上となる日があると想定。指数の値は高いほどリスクが上がる。

WBGTが28を超えると、熱中症による救急搬送が急増するとされる。大阪では多い月で4千人以上が救急搬送されており、協会は「会場でも救急搬送を必要とする熱中症患者が発生する」と予測。パビリオンや入退場ゲートで待機する列など、来場者が滞留する状況では、暑さに関する環境が一気に悪化する危険があるとみている。

協会は、猛暑や南海トラフ巨大地震など大規模災害の対応策について、昨年12月に「防災基本計画」を決定。これをもとに、具体的な「実施計画」を今夏に策定する。

万博は入場予約制とするため、「極端に長い行列の発生は抑えられる構想」(協会担当者)だが、猛暑対策として、まず場内に日陰を作ることを重視する。会場中央に樹木約1500本を集める「静けさの森」の木陰が最大化するよう植樹。各パビリオンには、屋外で入場を待つ人の日よけを設置するようガイドラインでも示している。

会場には、ウオーターサーバーを数十台設置し、売店で日傘や、首からかけて体を冷やすグッズなどを販売。環境省などの熱中症警戒アラートが発表されれば、協会ホームページや万博の専用アプリで案内する。

熱中症をはじめとした急病人に対応するため、会場には診療所3カ所と応急手当て所5カ所があり、大阪市消防局の救急車が常時待機。屋外の76カ所に自動体外式除細動器(AED)を置く。

日本総合研究所関西経済研究センターの藤山光雄所長は「温暖化や異常気象などの影響により、世界的に猛暑への警戒感が強まっている」と指摘。万博のテーマを踏まえ「命を守る猛暑対策や熱中症対策についても、未来社会に向けた斬新な取り組みを示すべきだ」とする。(井上浩平)