“痴漢”という名称がよくない? 痴漢は性暴力、ストリートハラスメント…早急に求められる行政の対応

AI要約

内閣府が若年層の痴漢被害に関する調査を発表し、10.5%が被害経験があることが判明。被害の大部分が電車内で発生し、被害者の相談率は低いという課題が浮き彫りに。

臨床心理士の提案として、「痴漢」という呼び方を改める必要性を示唆。さらに、性暴力全体を含めて考えるべきだと訴える。

被害者の多くが相談を避ける事情を理解し、第三者介入の必要性を主張。また、対策を行う意思決定者の男性が被害の実態を認識する必要性が指摘されている。

“痴漢”という名称がよくない? 痴漢は性暴力、ストリートハラスメント…早急に求められる行政の対応

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「FLAG NEWS」のコーナーでは、若年層の10人1人が経験しているという“痴漢被害”について取り上げました。

◆若年層の10人に1人が“痴漢被害”を経験

内閣府が痴漢被害に関する初めての調査を行い、若い世代の約1割が被害にあったことがあることがわかりました。調査は16歳~29歳を対象にオンラインで行われ、「痴漢の被害に遭ったことがある」と回答したのは、10.5%。女性が13.6%、男性が3.6%でした。

被害にあった場所は「電車内」が62.8%と最も多く、次いで「路上」が13.0%。被害者のうち警察に相談したのは8.0%にとどまり、30%あまりがどこにも相談していませんでした。内閣府の担当者は「相談先の周知や相談しやすい環境をつくることが大事」としています。

◆“痴漢”という呼称に問題あり!?

これに対し、臨床心理士のみたらし加奈さんは「まずは“痴漢”という名前をやめませんか、というところから始めたい」とその名称について異議を唱えます。

そして、「呼称によって被害を軽く見てしまう、それは被害者もそうだが加害側もそうなってしまっている実態がある。もう少しいいニュアンス、例えば“電車内の性暴力”、“公共機関における性暴力”というような言い方をしていったほうがいい」と提案。

また、女性の約70%がつきまといや衣服を汚すなどの痴漢的行為を含めた“ストリートハラスメント”にあった経験があるという調査結果を引き合いにして「もしかしたら(痴漢被害は)若年層の10人に1人というのも氷山の一角の可能性もある」と案じます。

さらに、みたらしさんは、被害者の多くがどこにも相談できていないことを憂慮。「性暴力被害をどこに相談したらいいか、被害にあってから何年も経った後に相談していいのかわからず、相談してはいけないと思ってしまう被害者の方もいる。なので、小さいときから心理教育、性教育を行っていくことも大事だし、大人も(何かあれば)簡単に相談していい、この報道を観て何か感じるところがある方はカウンセリングや関係機関につながっていいということを改めて言いたい」と声を大にして伝えます。

一方、キャスターの豊崎由里絵は、過去に自身が何度も痴漢被害にあったことを明かしつつ、「ただ、(痴漢にあった際)どこに相談したいいのかわからない」と素直な思いを吐露。

例えば、空いている電車内で痴漢にあったときは逃げることを優先したため、犯人を確認することなくドアが閉まる瞬間に下車したことや、満員電車で被害にあったときは振り返れないほど混雑していたり、下車した後に衣服に何かが付着していることに気付いたりしたことなど、実体験を引き合いにし、「誰が犯人なのかわからない状態で警察に行くのも……と思い、結局、誰にも相談してこなかった」と当時を振り返ります。

みたらしさんは、豊崎の意見に大きく頷きつつ、「だからこそ第三者介入が必要」と主張。そして、「困っている人がいたら、例えば動画を回したり、録音、写真を撮る。それをネットにアップするのはよくないけど、被害にあわれた方に渡したり、声をかけてあげることも大事」と言います。

総じて、「本来であれば、公共交通機関に監視カメラを設置するなり対策をとってほしいが、(被害者が)1割という数字を出されてしまうと対策をとる必要がないと思われてしまう。だからこそ痴漢という名前をやめ、ストリートハラスメントと定義することで、その被害者が70%になれば(行政も)動かざるを得ない、そうしたところに持っていくことが重要」とみたらしさん。

「The HEADLINE」編集長の石田健さんは、「例えば、同世代の女性はSNSで見ず知らずの人からひどいDMがよく来ると言う。しかし、自分は男性として生きてきて、そんなことはほとんどない。つまり、全く見えていない世界が広がっているということを至る所で感じる」と話します。

そして石田さんは、「警察や自治体など、対策を行う意思決定機関の多くは男性で、それがよく問題視されているが、今言った通り、(男性は)全く見えていない世界があり、それを見せてもらうと実はすごいことが起こっている。ハードルは高いが、まずはそこをどうにか変えていかないといけない」と指摘していました。