ゴミ屋敷に“変化”…「20年モノのカチコチ“ミルフィーユ”→若者による“ふわふわ系”」 背景は?

AI要約

シングルマザーが子供と共にゴミ屋敷状態になってしまい、精神的に追い込まれる。清掃業者に助けを求めるが、周囲に知られたくない後ろめたさを抱える。

清掃業者はYouTubeでの情報発信を通じて依頼を増やし、コミュニケーション不足からの相談増加を経験。若い世代でも「ふわふわ系」のゴミ屋敷が増えている。

ゴミ屋敷の原因は人それぞれであり、スッキリンでは再スタートに必要な支援機関の紹介も行い、人間関係の重要性を強調している。

ゴミ屋敷に“変化”…「20年モノのカチコチ“ミルフィーユ”→若者による“ふわふわ系”」 背景は?

 スッキリン:今回依頼しようと思ったきっかけは?

 シングルマザーの女性:子どもが小学生に上がるタイミングで、例えばベッドだとか勉強机だとか、そういったのを用意してあげたいなと思ったけどできないっていうのにすごい悔しくなってしまって。

 部屋やトイレ、風呂など、あらゆる場所がごみで埋め尽くされた家。映像には、小学生の子どもを持つシングルマザーが清掃業者に片付けを依頼、その作業の一部始終が収められている。

 職場でのパワハラと子育てで気が休まる暇がなく、精神が疲弊していった母親。掃除や洗濯といった家事ができなくなる中、新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言によって親子で閉じこもるようになったという。

 気づけば、手の付けようがないゴミ屋敷状態に。周囲にこの状態を知られたくないという後ろめたい気持ちをなんとかしなければならないとの思いで清掃業者に助けを求めた。

 こうしたゴミ屋敷の清掃作業をYouTubeで公開しているのが、不用品回収や部屋の片付け業務を請け負うスッキリンだ。

 「『どんな人が来るのか、どんな業者なのかもわからない』と拒絶反応を起こす方が多数いるが、回収メンバーの顔や身なりの映像を見て依頼のハードルが下がり、問い合わせに繋がるケースが多い」(スッキリン 西岡巧貴代表)

 こんな状況になってしまったことを人に知られたくない、家に入って見られたくない…ゴミ屋敷の住人が抱える葛藤を少しでも和らげるため、スッキリンは依頼者に承諾を得た上で、実際の作業の様子を公開している。

 会社への問い合わせ件数は、4年前と比べ約3倍に急増。西岡代表は情報発信と共に、コロナ禍によって直接的な会話コミュニケーションが減って相談しづらくなったことも問い合わせが増えた要因ではないかと話す。

 また、近年は依頼者の年齢層にも変化がみられるという。

 「これまでは高齢者の方が10年、20年と長いスパンをかけてゴミを溜め、我々業界では『ミルフィーユ』と呼ばれるカチカチになったゴミ屋敷にしてしまうケースが多かった。しかし、最近で20~30代という若い方が2~3年で作り上げた“ふわふわ系”のゴミ屋敷が増えている」

 心の問題や金銭的な事情など、ゴミ屋敷が生まれる原因は人それぞれ。スッキリンでは、頼れる人がいない依頼者に、生活保護の窓口や児童相談所など再スタートに必要なサポートが受けられる機関の紹介もしている。

 「これまでは年配の方に偏っていたゴミ屋敷現象も、今はどの年代でも見られるようになった。声をかけ合える人がいて、人間関係が構築できればゴミ屋敷は少なくなると感じている。少しでも改善できればいい」(西岡代表)