いったいなぜ…女性医師と男性医師では「患者の死亡率」が違っていた!医療界で話題になった「衝撃データ」の意味

AI要約

女性医師の増加について、医学部時代の変化や英語導入の影響、外科医志望者の減少などが語られている。

解剖実習のハードルや女性学生の優秀さなど、医学部での実情が赤裸々に描かれている。

時代の変化に伴う教授会の危機感や女性医師の進出に対する様々な観点が示されている。

いったいなぜ…女性医師と男性医師では「患者の死亡率」が違っていた!医療界で話題になった「衝撃データ」の意味

開業医のリアルと本音が包み隠さず記された『開業医の正体』(中公新書ラクレ)が、5万部超(電子書籍含む)のヒットとなり、いま大きな話題を呼んでいる。

同書の著者で小児外科医の松永正訓医師が、その“実態”と“素顔”を赤裸々に明かす。

以前に比べて女性医師はかなり増えた。ぼくが医学部に合格した1981年は、1学年120人のうち、女子学生は12人だった。当時はこれくらいの割合が普通だった。ところが、最近では入学生の約30%が女性である。なぜ昔は少なく、今はこれほど多くなったのか。はっきりした理由は不明だが、考えられることはいくつかある。

昔は、医者の世界というのは体育会系のマッチョな雰囲気が色濃くあった。昭和のテレビドラマ『白い巨塔』の財前五郎教授は田宮二郎が演じていた。男臭さ全開というところだろう。

平成になってからはトレンディー俳優の唐沢寿明が、令和になってからは旧ジャニーズの岡田准一が演じるようになった。この差はデカい。昔は、医学部というのは男の入る所という感覚があって、女性には不人気だったのだろう。

また解剖実習というのも女性にはハードルが高いかもしれない。今でも女子学生の割合が50%にならないのは、この実習のせいかもしれない。みなさんは解剖実習というと、ご遺体のお腹を開いて内臓を確認してお終い……くらいにしか思っていないのではないか。そうではない。

人体を構成するすべての筋肉・骨・血管・神経・内臓をすべてあらわにしていくのが解剖実習である。全てが終わるまでに1年近くかかる。

医学部時代、ぼくの同級生に関して言うと、女子学生はおしなべてみんな優秀だった。これは医学部に限らずに、一般的に女性の方が、男性より勉強ができるのではないか?

小学生くらいの頃は、男子の方が圧倒的に算数が得意だが、10代の終わりになっていくとそういう差は消えていく印象だ。それが分かったのが、千葉大医学部の受験科目に初めて英語が採用されたときである。これを機会に一気に女子の合格比率が上がった。つまり女性医師が増えた理由は英語の導入にある。

その頃、医学部の教授会は相当な危機感を持っていたという話をぼくはこっそりある教授から聞いたことがある。女性は確かに優秀であるが、体力では男に負ける。外科医なんて半分は体力仕事である。

特に整形外科とか脳神経外科はそうだ。このままでは将来外科医のなり手が減るのではないかという心配から、英語を試験に課すことを取りやめようかという意見も教授たちの間にはあったらしい。

だが時代の流れは止められない。今では、文系も理系も二次試験に英語があるのは当たり前である。千葉大医学部もその流れを尊重して今に至っている。

外科系診療科を志す学生が減るのではという心配は確かに現実になった。しかし、教室を維持できないほど少なくなったわけではない。予測通り、女性はメジャーな外科教室に入局することは非常に少なかった。