クマと共存するアラスカ、ベアーカントリーの大原則と西海岸の絶景|元イルカトレーナーの自然・文化遺産めぐり

AI要約

アドベンチャーワールドで元イルカトレーナーの武藤大輔が自転車で世界を旅する挑戦に取り組んでいる。

アラスカやカナダの壮大な自然に触れ、氷河の融解が地球環境に及ぼす影響について考える。

季節の変わり目や自然現象、そしてオーロラなど、旅先の魅力を写真やエピソードとともに紹介。

この旅で自然や文化、環境問題に触れながら、世界の美しさや脅威を体感し、日々の暮らしに気をつける大切さを再確認。

アラスカからカナダへと旅を続けながら、自転車で走る喜び、大自然に囲まれる感動、そして地球環境への配慮を学ぶ。

クマと共存するアラスカ、ベアーカントリーの大原則と西海岸の絶景|元イルカトレーナーの自然・文化遺産めぐり

パンダをはじめ約120種・約1600頭の動物たちが暮らす「アドベンチャーワールド」(和歌山県白浜町)の元イルカトレーナー、武藤大輔さんが「自転車で75カ国、300カ所以上の自然・文化遺産を巡る約10万kmの旅」に挑戦しています。

これまでまずは北米大陸から、アラスカを昨年5月下旬に出発して、カナダ、ウエストコースト、メキシコ、ベリーズ、グアテマラ、エルサルバドル、ニカラグア、コスタリカ、パナマと旅してきました。

大学で海洋生物について学び、在職中には次世代リーダーが集う国際サミット「one young world 2019 in London」で海洋プラスチック問題に関するディスカッションに参加するなど、動物たちを通した社会・環境課題の解決に取り組んできた武藤さんが、旅先で出会った絶景や動物たち、そして自然・文化との共存・継承のための知恵や工夫などについて、レポートします。

皆さん、こんにちは! 7年間かけて75カ国、132カ所以上の自然遺産と190カ所以上の文化遺産への訪問を目標に、自転車で地球を旅しています、武藤大輔と申します。

僕は2017年にアドベンチャーワールドの運営を行うアワーズに入社して、主にイルカ・クジラといった鯨類の飼育や環境問題に取り組む仕事に従事し、2019年には「ワン・ヤング・ワールド」という地球規模の課題について話し合う国際サミットに参加する機会がありました。

そこで、多くの問題を抱えるこの地球で今後自分が取り組むべきことはなんなのか?ということを、見る・聞く・触れる、とにかく五感を全て使って大好きな自然や文化を体感しながら確かめたいと思い、始めたのがこの自転車地球旅「Cycle Earth ~World Bicycle Journey」です。

この旅で出会った自然や文化を、写真や映像とともに皆さんに全力でお伝えしていきたいと思いますので、ぜひご一緒に旅する気持ちでお付き合いいただけたら嬉しいです!

■まさに壮大── アラスカ、カナダの大自然

それではさっそく今回の旅の出発地、アラスカとカナダの旅から、お届けしてまいりましょう。皆さんはアラスカやカナダというとどんなイメージをお持ちでしょうか?

そう、大自然──。本当にこの一言に尽きるほど、圧倒的な自然が僕を迎えてくれました。

冒頭の写真は、アラスカの玄関口・アンカレッジ国際空港に昨年5月下旬に到着し、バラバラに分解して持っていった自転車を段ボールから出して再び組み立て、最初の目的地であるウィッターという街に向かっている時の一枚です。

思い描いていた山々の情景がまさにいま目の前に広がっている!と感動を覚えたものです。

北緯が高く、日がなかなか沈まずに夜の12時頃まで明るくて、時差もあいまって、最初ちょっと体が慣れなかった、なんてこともありました。

■氷河のパワーに圧倒 一方、近年融解が問題に

そしてなんといっても氷河ですよね!

氷河を見られる場所は多くありますが僕は、キーナイ・フィヨルド国立公園にカナダの秘境・サーモングレイシャー、ジャスパー国立公園/バンフ国立公園のコロンビア大氷原と名所を満喫しました。

ただ、コロンビア大氷原でもらったパンフレットによると「1919年から2009年の間にコロンビア大氷原は面積の23%(60平方キロメートル)を失った」とのこと。また、上の写真を撮ったアサバスカ氷河では過去125年間で半分以上の体積が消失したと言われています。

実際に氷河を歩いている時も、氷の上を解けた水が流れていく様子を確認することができますが、温暖化などの影響によってその解け出す量が増えてきているのです。

こうした氷河の融解は世界的にも問題になっており、海面上昇など様々な影響が懸念されています。あらためて温暖化対策について、今すぐできることから取り組んでいきたいと実感しました。

■短い夏がやはりベストシーズンかも!

アラスカからカナダにかけて訪れた頃の気温は大体10度前後で、ちょうどこれから夏に入っていくというところ。夜には氷点下になる時もありましたが、場所によっては雪が解け始め、地面の下に眠っていた植物たちに光が当たって芽吹き、花を咲かせ始める、といった季節の変わり目を感じられる最高のタイミングでした。

こちらは有名な観光地にもなっている「デナリ国立公園」で撮った一枚です。

自然保護区ということで、後ほど詳しくお伝えしますが多くの野生動物が暮らしており、ありのままの自然が楽しめる人気のスポットです。

さらに南へと進むと、氷河や永久凍土が解け、美しいターコイズブルーの川や湖を目にすることができました。

世界遺産・カナディアンロッキーのハイライト、ジャスパー国立公園とバンフ国立公園での写真です。

氷河から流れ込んだ石灰などの微粒子が水中で太陽の光を乱反射させ、こうした色合いをみせるのだそうです。

アラスカといえばオーロラをイメージする方も多いと思うのですが、夏にはほとんど見られません。

理由は冒頭でお伝えしたように夜でも明るいからで、期待していなかったのですが、ジャスパー国立公園に入る前に奇跡的にカメラで収めることができました。

パンクした際の予備チューブ購入のために入った自転車店で知り合った、街の伝説の自転車乗り・ケビンの家の庭にテントを張って野宿させてもらっていると、空になにやら白いモヤモヤが......。雲とは違う動きに見えたので、カメラを準備してシャッターを切るとびっくり!

モニターに色のついたオーロラが映っていました。