「僕に失礼だろう」芸能人をカッコいいと言う妻に怒り狂って…“モラハラ夫”だった経験から語る、加害者の変わり方

AI要約

中川瑛さんは自身のモラハラ加害に気づき、妻との関係改善のために努力し始める。

読書や研究を通じて加害者変容理論を構築し、自助団体「G.A.D.H.A」を立ち上げる。

彼は同じ立場の加害者と協力し、幸福観を変えるために積極的に行動している。

中川瑛さんの変容を促す理由や団体の目的について紹介されている。

彼が他者をケアする側の能力を身につけ、幸福を求める哲学的な立場を持つ団体を必要と感じた経緯が描かれている。

自らの経験を共有し、悪意のない加害者が変容する支援を行っている。

自助団体「G.A.D.H.A」を通じて、加害者変容の重要性を訴えている中川瑛さんの取り組みに焦点が当てられている。

自分の経験を通じて他者に影響を与え、幸福への道を共に歩む仲間を育てることを目指している。

最終的に、加害者たちが自らの過ちに気付き、積極的に変容を図れる社会を実現することを目指している。

「僕に失礼だろう」芸能人をカッコいいと言う妻に怒り狂って…“モラハラ夫”だった経験から語る、加害者の変わり方

〈「あれ? 照れ隠しではなくて、本気で喜んでいないんだ」妻の体調不良すら許せなかった、“モラハラ夫”が自分の加害に気づいた瞬間〉 から続く

「あなたのために、よかれと思って」していたことが、妻への“加害”だったと気づいた中川瑛さん。妻との関係を改善した後に、かつての自分と同じ加害者が変わるための支援をする自助団体「 G.A.D.H.A(ガドハ) 」を立ち上げ、“モラハラ”加害者の変容を描いたコミック『 99%離婚 モラハラ夫は変わるのか 』(KADOKAWA)では、原作者を務めている。

 この記事はノンフィクションライター・旦木瑞穂さんの取材による、中川さんの半生と「トラウマ」、そして中川さんに起きた変化についてのインタビューだ。

 旦木さんは、自著『 毒母は連鎖する~子どもを「所有物扱い」する母親たち~ 』(光文社新書)などの取材をするうちに「児童虐待やDV、ハラスメントなどが起こる背景に、加害者の過去のトラウマが影響しているのでは」と気づいたという。

 親から負の影響を受けて育ち、自らも「毒親」となってしまう「トラウマの連鎖」こそが、現代を生きる人々の「生きづらさ」の大きな要因のひとつではないか。ここでは、そんな連鎖に打ち勝つように“加害者変容”に取り組む中川さんの転機と信念に迫る。(全3回の3回目/ 1回目 、 2回目 を読む)

◆◆◆

 2020年、28歳のクリスマスイブにした、妻との大喧嘩をきっかけに、中川さんは「あなたのために」「よかれと思って」が加害だと気付いた。

 パソコンに向かい、「夫婦喧嘩 理由」「夫婦 カウンセリング」などを検索すると、ASDなどの発達障害、AC(アダルトチャイルド)、愛着障害、モラルハラスメント、カサンドラ症候群、パーソナリティ障害などさまざまなキーワードと出会った。

 まずはそうしたキーワードに関連する文献を片っ端から読み漁り、妻との関係改善を模索し、徐々に改善していった。「加害者変容理論」という考え方を構築し、モラハラ・DVなど「ケアの欠如」としての暴力を振るってしまう人の当事者団体であり、暴力ではなく「ケアをもって」人と関わることのできる人に学び変わるための自助団体である「G.A.D.H.A(Gathering Against Doing Harm Again)」を立ち上げた。

 中川さんが「G.A.D.H.A」を立ち上げた理由は、大きく分けて4つある。

・自分がしたことが加害なら、世の中には無自覚な被害者も加害者もたくさんいると思ったから

・援助者と被援助者ではなく、加害者同士という同じ立場で助け合うことで「他者をケアする側」の能力を身につける場が必要だと思ったから

・責任や償い、幸福といった観念を同じ土俵で捉える哲学的/思想的な立場を持った団体がなかったから

・一人で加害者変容をするのは、幸福観がひっくり返るような大ショックを受けるのでとても苦しく、一人でやり切るのは簡単ではないため、仲間と一緒にやる方が良いから

 中川さんは、自分自身の変容に役立った考え方を広く一般に共有し、「悪意のない加害者」が変容するきっかけを提供するために「G.A.D.H.A」を立ち上げたのだ。