岡田将生「優しさだけで夫婦はやっていけないと知った」理想の夫婦像に変化

AI要約

渡辺ペコさんの漫画「1122」が実写化され、Prime Videoで配信中のドラマ『1122 いいふうふ』について、主演の岡田将生さんのインタビュー内容を紹介。彼が演じる夫・二也の複雑なキャラクターについて語り、自身の理想の夫婦像やパートナーとの向き合い方についても言及している。

岡田さんは二也を演じる中で、役柄に共感できない面もあるが、二也の持つ独自の「夫婦のルール」について一考察を示している。優しいが故に人を傷つける一面や、優しさだけでは夫婦関係は成り立たないことについて言及している。

また、岡田さんは高畑充希さんとの共演についても触れ、事前に共通の知人を介して会ったことで作品への取り組みがより円滑に進んだと述べている。さらに、理想の夫婦像やパートナーとの向き合い方についても語っている。

岡田将生「優しさだけで夫婦はやっていけないと知った」理想の夫婦像に変化

夫婦としてのあり方に一石を投じ、「妻に読ませたくない」「夫に読ませたい」とさまざまな反響を巻き起こした渡辺ペコさんの漫画「1122」。実写化されたドラマ『1122 いいふうふ』がPrime Videoで配信され、大きな話題となっています。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。

岡田将生さん

【映画、ときどき私】 vol. 650

本作で高畑充希さんと夫婦役を演じ、ダブル主演を務めている岡田将生さん。劇中では妻の一子(いちこ)との夫婦仲を円満に保つために「婚外恋愛許可制」を選んだ夫の二也(おとや)を演じています。今回は、役を通して感じたことや理想の夫婦像、そしてご自身がパートナーと向き合ううえで大事にしていることなどについて語っていただきました。

―演じられた二也については、ネットでリサーチした際に「クズだ」といった声を多数目にされたそうですが、岡田さんはどのような人物としてとらえましたか? 

岡田さん まずは、原作ファンの方々からどういうふうに見られているのかが気になって調べました。もちろん、僕も二也がしている行為については共感できません。でも、世間とは違う“夫婦のルール”にそってしていることなので、「夫婦のあり方としてこれはこれでありなのかな?」という気もしています。

「クズ」と2文字だけで言うのはどうなのかなと…。本当にクズの人はおそらく自分では気が付かないと思うので、自分をクズだと思う人は意外とクズではないのではないかなと。

―劇中で「俺ってクズなのでは?」と二也が言う場面があり、チャーミングさを持って演じていらっしゃるように見えましたが、意識されていたこともあったのでしょうか。

岡田さん まさにそのバランスについては、考えていました。というのも、演じ方によってはただのクズになってしまう可能性があったので…。でも、ここでは「コイツだったらちょっと許せちゃうかな」というギリギリのラインを狙ったキャラ作りをしたかったので、本読みの段階でその路線で行こうというのは自分で決めていました。

撮影が楽しかったのは、ケンカのシーン

―二也はいろいろと言われていますが、優しい部分も多いですよね? 

岡田さん ただ、夫婦というのは、優しさだけではやっていけないということですよね…。そこはすごく考えさせられました。おそらく二也は人一倍優しいと思うんですけど、優しいからこそ人を傷つけてしまうところもあるのかなと。一子ちゃんのことは本当に好きなのに、それと体の関係性が違うというのも面白いポイントだと感じました。

―「二也があんなに涙もろいキャラクターになったのは、岡田さんが本番で自然と泣いてしまったから」と監督がコメントされていますが、そのあたりも計算されていたのですか? 

岡田さん 共感性を求めたいというのも少しあったので、二也の生理的な現象に関しては欠かせないと考えていました。

どれだけ二也がしている行為が悪だったとしても、お芝居をしていて僕自身が傷つくこともあったくらいで。現場では監督にも「泣くなと言われても泣いちゃうかもしれない。ごめんなさい」という話はしていました。

―お気に入りのシーンなどがあれば、教えてください。

岡田さん 僕がけっこう好きだったのは、ケンカをしているシーン。お互い生身になって、相手を傷つけるとかつけないとかを考える間もなく言葉が出てしまう感じがいいなと。撮影していてもすごく楽しかったですね。

2人の言い分がわかるからこそ、夫婦で観てもらえたら「自分たちはどうなんだろう?」と客観的に考えられる気がするので、みなさんがどういうふうにとらえるのかなとワクワクしています。

高畑さんと事前に話すことで腑に落ちる感覚があった

―高畑充希さんとは初共演でありながら、結婚7年目の雰囲気がよく出ているように感じました。事前に共通の知人を介して会われたこともあったそうですが、いつもそのようにされるのか、この作品に関してはそれが必要だと思われたのですか? 

岡田さん この役を演じるうえで必要だと思いました。一子と二也の空気感を現場ですぐに出すためには、事前に会って話をする機会を持ちたいなと思ったんです。

長く仕事をしているので、知っている方は多いほうですが、高畑さんは一度もお会いしたことがありませんでした。撮影の前に作品の話を中心にいろいろと話せたことが、プラスに働いたように感じています。

―事前に会われたときは、どのような感じでしたか? 

岡田さん 監督の今泉 (力哉) さんと3人でご飯に行ったんですけど、おそらく3時間くらいは今泉さんが一人でずっと話してくださっていて (笑) 。だから、高畑さんとは全然話せなかったんですよ! なので、会が終ったあとに、「申し訳ないですが、高畑さんと話せなかったのでもう一度お時間作ってもらえますか?」とお願いしたほどです。

高畑さんも同じことを考えていたようなので、それは僕たちにとっての笑い話になりましたが、その感じも一子と二也っぽさに繋がったのではないかなと。自分のなかでは、すごく腑に落ちる感覚でした。今泉さんの人間性も知ることができて、高畑さんと2人で「ついていこう!」とはなりましたが、正直に言うと「今泉さんがしゃべる時間はもう少し短い時間でもよかったかな」と思っています (笑) 。

理想の夫婦像は、老夫婦になっても手を繋いで歩くこと

―この作品では新しい夫婦の形を経験されましたが、ご自身が思い描く理想の夫婦像とは? 

岡田さん 以前は、「知らなくてもいいことは知らなくてもいい」と思っていたんですけど、いらない情報も含めて相手を理解する大切さについて深く考えるようになりました。僕は「老夫婦になっても手を繋いで歩きたい」と昔から思っていて、それもなかなか難しいということを今回の作品を通して痛感しました。でも、だからこそ人間同士って面白いんでしょうね。

現場でも結局、「いい夫婦ってなんだかわからないよね」となって。おそらく100組夫婦がいたら夫婦の形は100通りあるので、それを話し合いによって見つけていくことが大事なんだと思います。二也の行動は理解できないですが、目の前にいるパートナーを大切にしているからこそすべて話すというのもあるのかなと。でも、この問題については難しいので、言葉をちゃんと選んで言わないと怖いですよね (笑) 。

―確かに、そうですね。ちなみに、ご自身がパートナーと向き合ううえで意識されていることなどがあれば、教えてください。

岡田さん やっぱり「寄り添う」というのは、大事だなと思います。そこは気を付けているつもりですが、それはあくまでも自分のなかでのことなので、相手がどう感じているかはわからないですよね。

だからこそ、いいパートナーでいるということは、つまり“いい人間”であるということでもあるのかなと。そこは自分と向き合って生きていくしかなんだろうなと考えるようになりました。

夫婦でお互いを理解し合える姿には憧れる

―職業柄、さまざまなカップルを疑似体験してきたと思いますが、それがご自身の恋愛観に影響を与えることもありますか? 

岡田さん それはまったくないんですよね。ただ、観てくださる方々には楽しんでもらいたいなというのはあります。僕自身で言うと、恋愛ものからしばらく離れていたこともあって、久しぶりにこんなに向き合うことになったので、夫婦のあり方については勉強になりました。

―本作で衝撃的なシーンのひとつに局部を剣山で刺される場面がありますが、男性からするとトラウマになるのではないかなと。

岡田さん あれは一種の“呪いの行為”ですよね。でも、二也の言い方がダメなので、「刺されて当然」とうなずいているスタッフさんが何人もいたほどです (笑) 。二也が変わっていくポイントにもなるので、大事なシーンだと思っています。

撮影では僕よりも、剣山を刺す西野 (七瀬) さんのほうがドキドキしていたのではないかなと。事前にみんなでいろいろと話し合いながら、西野さんには思いっきりやってくださいと話していました。

―今回は実生活でご夫婦である今泉監督と脚本の今泉かおりさんとご一緒されましたが、おふたりを見てどう思われましたか? 

岡田さん ご夫婦でこの作品を描かれてケンカにならないか心配になりましたが、いろんな話し合いを重ねてくださったからこそ面白くなったんだろうなと思いました。一度だけ、現場でおふたりが話している様子を目にしましたが、真摯に向き合っている姿がすごく素敵でカッコよかったです。

同じ業界にいて、お互いを理解し合えるというのは憧れますよね。おふたりが一緒にブラッシュアップしてくださったおかげで、今回はドラマとして強度が高い作品になったと思います。

悩むことは大切なことだと伝えたい

―夫婦でも好きなものが似ているカップルと、真逆だから惹かれ合うカップルとさまざまですが、岡田さん自身の理想に近いのは? 

岡田さん 僕は共感し合えたり、同じ趣味を楽しめたりするほうがいいですね。たとえば、映画を観終わったら、感想を言い合うとか。それぞれ視点や捉え方が違うので、そういう話をしながら相手のことをもっと知りたいです。

あと、僕は料理をするのがすごく好きなので、一緒に作ったり、家で晩酌したりとかできるといいなとは思います。

―それでは最後に、悩みを抱えるananweb読者に向けてメッセージをお願いします。

岡田さん 取材でよくアドバイスとかを求められることがあるんですけど、基本的に僕は悩んでいる側の人間なんです (笑) 。だから、「悩んでいるのはあなただけではなくて、隣にいる知らない人も同じように悩んでいるから大丈夫」というのは言いたいですね。それに悩むことはすごく大切だとも思っています。

僕の場合は、友達に「聞いて!」みたいな感じで周りに話して発散するタイプですが、自分のなかに負のエネルギーを溜め込むのはよくないので、みなさんも循環してもらうといいかなと思います。

インタビューを終えてみて…。

読者へのひと言を求めた際には、頭を抱えながら一生懸命考えてくれた真面目で優しい岡田さん。そんな岡田さんだからこそ、本作では二也が愛すべきキャラクターとなったのもうなずけます。高畑さんとの絶妙なやりとりや岡田さんがこだわったシーンなどにも、ぜひ注目してください。

繊細で赤裸々な夫婦の姿に揺さぶられる! 

パートナーとの向き合い方や自分にとっての幸せとは何かについて、誰もが考えさせられる本作。男女それぞれが抱くリアルな感情に触れることで、あなたも心の奥にしまいこんでいた想いが溢れ出してしまうかも。

スタイリスト・大石裕介 ヘアメイク・小林麗子

写真・園山友基 (岡田将生) 取材、文・志村昌美

ストーリー

ウェブデザイナーの相原一子と文具メーカー勤務の相原二也は、友達のように何でも話せる仲の良い夫婦。セックスレスで子供がいなくても、ふたりの仲は問題なかったが、そこには“秘密”がある。それは、毎月第3木曜日の夜、夫が恋人と過ごすことだった。

そして結婚7年目の2人が選択したのは、「婚外恋愛許可制」。一子も公認の“恋人”が二也にいることは、夫婦仲を円満に保つためにしたはずだったが…。

続きが気になる予告編はこちら! 

作品情報

『1122 いいふうふ』

Prime Videoにて世界独占配信中! 

*全7話順次配信! 6/14:1~3話、6/21:4~5話、6/28:6~7話*