旧統一教会に「返金求めない」の元信者の念書は「無効」 最高裁が初判断

AI要約

元信者の女性の遺族が旧統一教会に約6500万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁が念書の無効を判断。異例の献金状況や教団の影響下を指摘し、2審判決を破棄して審理を差し戻す。

旧統一教会の献金勧誘に関して初めて最高裁が判断し、教団側に影響を与えそうな判断。念書の有効性と献金勧誘の違法性が争点となった訴訟。

判決によると、女性が86歳で献金し、認知症と診断された後に念書提出。2審は念書を有効とせず、最高裁は公序良俗違反と判断した。

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側の違法な勧誘で献金被害に遭ったとして、元信者の女性の遺族が教団側に約6500万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(堺徹裁判長)は11日、女性が教団に提出した「返金や賠償を求めない」とする念書を「公序良俗に反し、無効」と判断した。

判決は、女性が土地を売却してまで献金した状態を「異例」と指摘。別の信者と教団による献金勧誘の違法性を検討するため、教団側勝訴の2審判決を破棄し、審理を東京高裁に差し戻した。

旧統一教会の献金勧誘に関して最高裁が判断するのは初めて。5人の裁判官全員一致の結論。教団側に同様の書面を提出したケースは複数あるとみられ、今回の判断が影響を与えそうだ。

訴訟では、念書の有効性と信者による献金勧誘の違法性が争点だった。

同小法廷は、念書作成時に女性は86歳と高齢で約半年後に認知症と診断されたこと、教団の儀式に複数回参加していたことなどから、教団の心理的な影響下にあり「冷静な判断が困難な状態だった」と指摘。念書は公序良俗違反だと判断した。

判決によると、女性は平成17~22年ごろ、1億円超を献金。27年、献金は自身の意思だとする念書を教団側に提出した。

1、2審は、念書が有効として請求を退けた。