【岸田首相に落選危機】地元では“総理の威光”通用せず「王国崩壊」前夜 有権者からは「岸田首相を落とせる候補」出現を期待する声も

AI要約

現職総理に遠慮するそぶりもなく自民党内から次々と「ポスト岸田」に名乗りを挙げる現状には、総理の伝家の宝刀である解散権行使の失敗が影響している。広島1区の地元選挙での敗北や支持離れが顕著になっており、首相の求心力低下が進行している。

広島1区や隣県の選挙で支援した候補の連敗や、広島市議会での自民党議員の造反など、首相に対する冷ややかな反応が示されている。総選挙に向けての市議団の分裂も、首相の支持が急速に減少していることを示唆している。

地元の声からは、岸田首相の人気がかつてあった広島での冷めた状況が浮き彫りになっており、首相のポスターを貼る支持者もほとんどいない現状が明らかにされている。

【岸田首相に落選危機】地元では“総理の威光”通用せず「王国崩壊」前夜 有権者からは「岸田首相を落とせる候補」出現を期待する声も

 現職総理に遠慮するそぶりもなく自民党内から次々と「ポスト岸田」に名乗りを挙げる現状は、総理大臣の専権事項である「伝家の宝刀」衆議院の解散権を岸田文雄・首相が行使できなかったことに端を発する。それもそのはず、有権者の深刻な自民党離れは、総理の地元・広島1区にまで及んでいた──。【全3回の第2回。第1回を読む】

 広島1区内の海田町長選(昨年11月)、府中町長選(今年5月)で岸田首相が支援した候補が負け続けている。とくに府中町長選敗北のショックは大きい。隣県の島根1区補選で自民党が守り続けてきた議席を野党に奪われたばかりで、広島に波及させないために負けられない選挙だったからだ。

 そこで首相は長男で秘書の翔太郎氏をはじめ岸田事務所の秘書3人を送り込んで岸田直系候補を応援したにもかかわらず、保守系新人にダブルスコアに近い差をつけられた。

 岸田首相の支援を受けながらお膝元の町長選に敗れた川上翔一郎・元町議は本誌・週刊ポストの取材に「すべて私の力が及ばなかったためです」としつつも、岸田政権への逆風をどう感じたかの問いには、「それはなかったとは言えないとは思いますけど……」と口にした。

 地元議員の1人が語る。

「府中町は衆院の区割り変更で次の総選挙から広島1区に編入される。だから岸田さんは事務所を挙げた支援体制を組んだ。出陣式でも翔太郎さんが挨拶に立ち、選挙で一番注目されていた。しかし、有権者は冷ややかで“総理の威光”は全く通用しなかった」

 さらに、広島市議会でも“造反”が起きた。6月に自民党の若手市議が日本維新の会と組んで自民党会派とは別の新会派を結成、「自民離れの動き」と波紋を広げている。

 いざ総選挙となれば岸田首相の手足となって選挙活動を支える市議団の分裂は、広島でも首相の求心力低下が急速に進んでいることを物語る。

 地元の元自民党地方議員はこんな言い方をした。

「岸田さんは広島サミットまでは人気があったが、すっかり冷めた。今では岸田さんのポスターも自宅の塀に貼る支持者はほとんどいない」