3位ではダメです蓮舫さん 「負けに不思議の負けなし」 書く書く鹿じか

AI要約

美濃部亮吉への挑戦や蓮舫の敗因について述べられたエピソードから、勝利と敗北の要因が明確に描かれている。

自民党の問題や小池百合子との対立、共産党支援の影響などが挙げられ、選挙戦の舞台裏が浮かび上がる。

選挙戦の激しさや政治家の厳しさが描かれる中、勝利への渇望と敗北への苦悩が描写されている。

昭和50(1975)年の東京都知事選で、美濃部亮吉革新都政に挑んだ石原慎太郎さんを追った沢木耕太郎さんのノンフィクション「シジフォスの四十日」に、印象に残る場面がある。電車で次の街頭演説の場所に移動する石原さんや弟の裕次郎さんらのグループから会話が漏れてきた。「ハイセイコーは2着でもドラマになるけど、こればっかしは2着になっても仕方がない」

ハイセイコーは当時、「地方の怪物」から中央競馬に転じ、社会現象を巻き起こしたアイドルホースである。しかし、圧倒的な一番人気になった日本ダービー、菊花賞ともタケホープに敗れた。翌年の有馬記念も2着で引退したが、このレースは終生のライバルに先着して勝った馬より大きな拍手を浴びた。

石原さんは3選を目指した美濃部さんに一歩及ばなかった。「太陽の季節」でセンセーショナルに作家デビューし、参院選の全国区で史上最多の票を獲得して政界入りした「時代の寵児(ちょうじ)」にとって、初めての挫折だった。

「2位じゃダメなんですか」は、民主党政権の事業仕分けで、蓮舫さんが発した言葉として記憶に残る。今また自問しているかもしれない。こんなはずではなかった、と。

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という名言があるが、

蓮舫さんの敗因は何だろう。

自民党は「政治とカネ」の問題でダメージを受け、補選や首長選で連敗している。都知事選は地方選挙だが、注目度は国政選挙以上に高い。勝てば政権交代への追い風がさらに強まる。出馬会見で「自民党政治の延命に力を貸す小池百合子都政をリセットする。その先頭に立つのが私の使命だ」と語った。「敵は本能寺にあり」と言わんばかりだった。

この時点では、小池さんはまだ3選出馬を表明しておらず、話題をさらった蓮舫さんはしてやったりだったろう。だが、戦う相手は自民党ではなく小池さんで、訴えるべきは都政の課題である。「7つの約束」という公約を発表したが、具体性に欠け、実績を強調する小池さんの方が説得力があった。

あえて敗因を挙げるなら、共産党の支援を受けたことではないか。立憲民主党と共産党の政党色を前面に押し出し、両党の支持層の大半を固めたが、最大の票田である無党派層が離れてしまった。女性票は小池さんに、若い世代はSNSで人気の石丸伸二さんに流れて2位にもなれなかった。