「ドSな市役所で働きませんか」 過疎のまちが攻めのインターン募集

AI要約

飛驒市がユニークなキャッチコピーで学生向けのインターンシップを募集している。過疎地で働く市職員に必要な心構えを伝えるために、新しい公務員像を提案している。

市役所が過疎化や内定辞退者問題に直面し、若者への魅力をアピールするために「ドS」キャッチコピーを使用している。これにより、市内外から多くの応募があるなど反響が大きい。

来春以降の採用向けのインターンシップが募集中で、公務員業務に関連したプログラムを体験することで成長や思い出を得られるようになっている。

「ドSな市役所で働きませんか」 過疎のまちが攻めのインターン募集

 ドSな市役所で働きませんか――。岐阜県飛驒市は、こんなユニークなキャッチコピーで8月に実施する学生向けのインターンシップ(就労体験)の参加者を募っている。

 ドSのSは「スピード感」「攻めの姿勢」「誠実」の頭文字を取ったもので、過疎地の自治体で働く職員に求める三つの心構えを、若い人たちに刺さる言葉でアピールする。

 岐阜県最北端の飛驒市は、2004年に4町村が合併して誕生。人口は約2万2000人だが、20年間で約8000人減り、高齢化率も40%を超えるなど、猛烈なスピードで過疎化が進む。

 市の職員採用試験でも、ここ数年は内定辞退者が続出。民間企業や他の自治体に流れる学生が多く、昨年4月入庁の採用試験では内定者16人のうち半数が辞退し、職場で欠員が出る事態に陥った。定員割れが続けば、十分な市民サービスを提供できなくなる恐れがあったという。

 このため、若者に市役所で働く魅力を伝えようと、「ドS」という刺激的なキャッチコピーで新しい公務員像をアピール。今春採用の職員募集から使い始めたところ、10人募集のインターンシップに市内外から約60人の応募があったという。

 実際、市のホームページの「ドS」に目が留まった愛知県の女子学生が昨年12月にインターンシップに参加し、今年4月から任期付き職員として働いている。市人事課は「予想以上に反響があり、これまで飛驒市と関わりがなかった人たちにも興味を持ってもらえている」と手応えを語る。

 現在募集しているインターンシップは来春以降の採用向けで、8月26~30日に行われる。地域の公共交通や外国人の誘客法など、公務員の実際の業務に則した15種類のプログラムを設け、体験によって「青春の思い出」「成長のきっかけ」など八つの「Sな特典」を得られるとしている。

 学生10人前後を受け入れる予定。人事課の担当者は「大きな自治体と異なり、住民との距離が近い分、一緒になってまちづくりができるなど、やりがいを感じてほしい」と呼びかけている。締め切りは7月17日で、市ホームページのフォームから申し込む。【稲垣洋介】