大学のAI・データサイエンス教育の進め方について討論

AI要約

2024年6月6日~8日、東京・有明で教育関係者向けの総合展示会「New Education Expo 2024 in 東京」が開催され、AI・データサイエンス教育に関するセミナーが行われた。

セミナーではAI人材の需要が増加していることや、日本のデジタル競争力の低下、大卒者に求められる専門知識の重要性が議論された。

政府は教育改革に向けてAI人材育成の取り組みを行っており、2025年までに課題解決型AI人材を育成する目標を掲げている。

大学のAI・データサイエンス教育の進め方について討論

 2024年6月6日~8日、東京・有明で教育関係者向けの総合展示会「New Education Expo 2024 in 東京」が開催された。セミナー「大学のAI・データサイエンス教育の進め方~生成AI対応も必須~」では、文部科学省の担当者と大学関係者が数理・データサイエンス・AI教育の推進に向けて最新事情と今後の方向性についてパネルディスカッションを行った。

 セミナーには文部科学省 高等教育局専門教育課 企画官の森次郎氏、関西学院大学 副学長、情報化推進機構 機構長・工学部情報工学課程 教授の巳波弘佳氏、同志社大学 高等研究教育院 所長/統計関連学会連合 理事長の宿久洋氏の3人が登壇し、日経BP 技術プロダクツユニット長補佐の中野淳がコーディネーターを務めた。

 文部科学省の森氏は日本のIT人材需給に関して、人材のスキル転換が停滞した場合、2030年には先端IT人材が54.5万人不足するという試算を紹介した。スイスの国際経営開発研究所(IMD)の「World Digital Competitiveness Ranking」(2023)では日本のデジタル競争力は64か国中32位と低下し、特に「デジタル・技術スキル」(63位)、「ビッグデータとアナリティクスの活用」(64位)が低迷している。デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する企業が増えたことで、IT人材の需要に対して供給が追いついていない状況にある。こうしたことから大卒者に対しては文理の枠を超えた知識・教養や、数理・データサイエンス・AI・ITの専門知識の習得が期待されていると指摘した。

 政府は「AI戦略2019」の教育改革に向けた主な取り組みで、デジタル社会の「読み・書き・そろばん」である「数理・データサイエンス・AI」(MDA)の基礎など必要な力を全ての国民が育み、あらゆる分野で人材が活躍できることを目指している。2025年に向けて課題解決型AI人材を年間2000人、AI応用力を習得した人材を同25万人、リテラシーレベルについては大学・高等専門学校(高専)卒業者全員の同50万人に拡大することを育成目標に掲げる。岸田内閣の「デジタル田園都市国家構想」でも、2024年度末までに同45万人の育成体制を構築し、2022~2026年度末の5年間で230万人のデジタル人材の育成を目指している。