政治不信残し国会閉幕へ 岸田首相、衆院解散見送り

AI要約

第213通常国会は23日に閉幕し、自民党は派閥裏金事件を受けた改正政治資金規正法の成立を果たしたが、政治不信は依然として残る。

岸田文雄首相は衆院解散・総選挙を見送り、内閣改造や党役員人事を通じて政権の立て直しに取り組む方針。裏金問題に始まり、物価高や少子化対策など重要課題にも取り組む構えだ。

野党は裏金問題の処理を巡り改正法の抜け穴や検討不足を指摘し、国会議員への支給制度改革も実現しなかった。首相はNATO首脳会議への出席や内政課題への取り組みを通じて、政権の求心力低下に歯止めをかけようとしている。

政治不信残し国会閉幕へ 岸田首相、衆院解散見送り

 第213通常国会は23日に閉幕する。

 自民党は派閥裏金事件を受けて最大の焦点となった改正政治資金規正法を成立させたが、国民の政治不信は払拭できていない。岸田文雄首相(自民総裁)は今国会での衆院解散・総選挙を見送り、9月末の任期満了に伴う党総裁選に向けて政権の立て直しを急ぐ。

 事実上の閉幕日となった21日、自民の茂木敏充幹事長は談話を出し、「(事件の)再発防止に取り組む。物価高や少子化対策など重要課題を一つずつ解決し、信頼回復に努める」と強調。立憲民主党の泉健太代表は記者団に「今国会は裏金一色になり、特に物価高の対応が遅れている。立民から声を上げていきたい」と語った。

 裏金問題は昨年12月に表面化。1月26日の今国会召集の直前に安倍、二階両派の事務所が家宅捜索を受け、冒頭から「裏金国会」の様相を呈した。4月の関係議員の処分を経て、規正法論議は5月の大型連休明けに本格化。1カ月余りで成立した改正法について、野党は「抜け穴」や多くの検討事項が残ったと問題視している。

 国会議員に月100万円支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)改革も実現しなかった。

 首相は7月に米ワシントンで開催される北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席する予定。内政では、電気・ガス料金の補助金再開を調整している。求心力低下が見られる中、内閣改造・党役員人事による「刷新」も視野に入れつつ政権浮揚を目指すとみられる。「ポスト岸田」を巡る動きも活発化しそうだ。