ドローン・スマホで家屋の浸水被害を把握、罹災証明書の発行早め支援金受給へ…内閣府が指針改定

AI要約

内閣府は、ドローンやスマートフォンなどのデジタル技術を活用し、内水氾濫による被害の程度を迅速に把握する取り組みを開始した。

新たな技術により、浸水の深さを自動的に測定し、被害の程度を判定することが可能となり、被災者の生活再建を支援するための措置を加速することができる。

内閣府は自治体向けの研修会などでデジタル技術の活用方法を普及させ、被災地の支援体制の強化を図る考え。

 内閣府は、雨水が排水施設の処理能力を超えて地上にあふれる「内水氾濫」による家屋の被害の程度を迅速に把握するため、ドローンやスマートフォンといったデジタル技術を活用できるようにした。支援金受給などに必要な罹災(りさい)証明書の発行を早め、被災者の生活再建をサポートする狙いがある。

 カメラ付きのドローンで上空から被災地を撮影して、コンピューターで地形や建物を再現した3次元の地図を作成したり、スマホの計測アプリで被災住宅の壁面を撮影したりして、浸水の深さを自動的に測定し、被害の程度を判定する。内閣府が5月31日、自治体が災害被害を認定する際の運用指針を改定したことで可能となった。

 従来は、自治体職員が現地を訪れ、家屋の壁や床などの損傷の具合を調べた後、公的な支援を受ける際に必要となる罹災証明書を発行していた。人手不足で調査が遅れ、罹災証明書も発行までに時間がかかるという問題が指摘されてきたが、ドローンやスマホの活用により、解消が期待される。

 昨年10月~今年2月、実際に浸水被害を受けた茨城県や秋田県でこうしたデジタル技術を活用した実証実験を行ったところ、算出した浸水の深さは、実際の値と大きな誤差はなく、内閣府は十分に活用できると判断し、導入を決めた。内閣府は今後、自治体向けの研修会などで、デジタル技術の活用方法を説明するなどして、普及を図りたい考えだ。