小池氏、現職の強み 蓮舫氏、行財政改革 公約発表で違い強調

AI要約

東京都知事選告示が行われ、現職の小池百合子氏と蓮舫氏が公約を発表。小池氏は少子化対策や高齢者対策など具体策を示し、現職の強みをアピール。一方、蓮舫氏は若者支援や行財政改革などを重点に置き、違いを強調。

小池氏の公約には保育料の無償化拡大や認知症専門病院創設など50の項目があり、現職の実績をアピール。一方、蓮舫氏の公約は労働待遇改善や家賃補助など具体的な政策を提示。

両候補の公約発表におけるスタイルや主張の違い、現職の強みや新たな政策重点などが、選挙戦の焦点となっている。

小池氏、現職の強み 蓮舫氏、行財政改革 公約発表で違い強調

 東京都知事選(7月7日投開票)が20日告示される。告示を2日後に控え、選挙戦の軸になるとみられる現職の小池百合子氏(71)と参院議員の蓮舫氏(56)=立憲民主党を離党=が18日、ともに公約を発表した。具体策を並べて現職の強みを見せようとする小池氏に対し、蓮舫氏は長く取り組んできた行財政改革などで違いを明確にしようとした。発表方法も、オンライン会見と実際の会見開催とで分かれた。(太田原奈都乃、土舘聡一)

 小池氏は18日午前、オンラインで会見し、「東京大改革3.0」と題した公約を発表した。

 主な内容は、少子化対策として、保育料の無償化対象の第2子から第1子への拡大▽「無痛分娩(ぶんべん)」費用への助成創設▽子育て世帯の家賃負担の軽減策――などを盛り込んだ。大学給付型奨学金や海外留学についても、都独自制度を創設するとした。

 増える高齢者への対策として、都独自の認知症専門病院や介護職員昇給制度の創設も主張。ほかに、クリエーター養成機関の創設や手軽な価格で住める住宅制度の推進、行政手続きのデジタル化など、示した公約には50の項目が並んだ。

 前面に出すのが現職の強みだ。少子化対策では、昨年度から「0~18歳全員に月5千円支給」という全国でも異例の給付策を開始。卵子凍結費用への補助や「私立高校授業料の実質無償化」の所得制限撤廃なども始めており、公約はその延長線上という位置づけだ。

 オンライン会見では、2016年の8466人が23年に286人まで減った保育所の待機児童問題などを挙げ、過去2回の選挙で掲げた公約の9割超が「着実に進んだ」などと主張した。小池氏周辺は「都政の継続を淡々と訴えれば勝てるはず」と自信を見せる。(太田原奈都乃)

■蓮舫氏公約「7つの約束」 若者支援で違い強調

 蓮舫氏は18日午後、都内で会見し、約80人の記者を前に「7つの約束」と題した公約を発表した。

 「徹底した若者支援。これが本物の少子化対策だ」。蓮舫氏は、こう切り出し、手厚い給付を重ねてきた小池氏との違いを強調した。

 主な内容は、事業の受注など都と契約関係にある企業に対して労働待遇改善を要請する条例の制定や、住民税非課税の多子世帯への家賃補助など。「現役世代の手取りを増やす」と訴えた。

 自身の「専門分野」と位置づける行財政改革としては、都の全事業に関して「行政事業レビュー」を導入して「都財政をガラス張りにする」ことや、公金使途の原則公開などを掲げた。政治とカネに関して「反自民党政治」を訴えてきた蓮舫氏は「政官業の癒着が疑われないよう、政治資金パーティーはしない」と述べた。

 ただ、具体的な数値目標のある項目が少ないことが報道陣から指摘されると、「実現不可能なことは入れない。すぐ手をつけられることを中心にした」などと説明した。

 多数の樹木伐採に批判がある民間事業者による明治神宮外苑地区の再開発については、開発が可能となった都制度の適用過程や、都による環境影響評価について「厳格に検証する」とした。現都政との明確な違いとして打ち出す狙いで、「争点とする」と明言した。

 ただ、外苑の再開発事業についてはすでに施行認可も都が出しており、環境影響評価の基本的な手続きも終わっている。蓮舫氏は「検証をしないと、是なのか否なのか、その間なのか(わからない)」と述べた。今後、再開発撤回まで踏み込む可能性については「検証する前に言葉だけが独り歩きするような答えは、ごめんなさい」と述べるにとどめた。(土舘聡一)