上村亘五段の解説 藤井棋聖、独創的山崎将棋にまたしても対応

AI要約

藤井聡太棋聖が山崎隆之八段を11手で下し、2連勝。永世棋聖の資格獲得に王手をかけた。

山崎八段との対局で、藤井棋聖は攻めに備える△5三桂に対して的確な手を指し、ペースを握る。

終盤では▲5五桂という妙手を指し、しっかり読み切って勝利。第3局への予想も含めて語る。

上村亘五段の解説 藤井棋聖、独創的山崎将棋にまたしても対応

将棋の藤井聡太棋聖(21)=8冠=が17日、新潟市西蒲区岩室温泉の「高志(こし)の宿 高島屋」で指されたヒューリック杯第95期棋聖戦五番勝負(主催・産経新聞社など、特別協賛・ヒューリック)の第2局で後手の山崎隆之八段(43)を111手で下し、2連勝。5連覇と自身初で最年少での永世称号である「永世棋聖」(通算5期以上)の資格獲得に王手をかけた。初の慶大卒のプロ棋士、上村亘五段(37)が解説する。

山崎八段が向かい飛車の力戦を採用した第2局。藤井棋聖は予想外だったとしたが、事前研究よりも現場での力が求められる山崎将棋にまたしても対応した。

44手目△5三桂は自陣に桂を打って攻めに備える、通常ではひらめかない山崎八段らしい手。藤井棋聖はその手に対して▲3五歩。守備隊形の隙を突いた手だ。ここから自然な手を積み重ね、ペースを握っていった。

藤井棋聖は、65手目で歩の頭に放つ捨て駒の▲5五桂。攻め合いに持ち込もうとするのを切り返した、きらりと光る妙手。終盤は一手違いにこそなったが、しっかり読み切った。

第3局は先手の山崎八段がエース戦法の相掛かりを採用するのではないかと予想する。定跡通りにならないのが山崎将棋。防衛に王手をかけたが後手番でもあり、予断は許さない。藤井棋聖は20日に将棋観が似た伊藤匠七段との叡王戦最終局を控える。タイプが違う山崎八段との2連戦後の過密日程だが、うまく切り替えるだろう。