ハンセン病の負の歴史を後世に…岡山のシンポジウムに700人参加

AI要約

ハンセン病に対する差別や偏見についてのシンポジウムが岡山で開かれ、700人以上が参加。負の歴史を後世に伝えるための取り組みが行われた。

笹川陽平・日本財団会長や俳優の竹下景子さんが登壇し、入所者が作った詩や作文を朗読。感動を呼び起こした。

パネルディスカッションでは長島愛生園園長やハンセン病訴訟弁護団の登壇者が、ハンセン病にまつわる問題について討論。参加者からも感想や意見が出された。

 ハンセン病に対する差別や偏見など、負の歴史を後世に語り継ぐためのシンポジウムが15日、岡山芸術創造劇場ハレノワ(岡山市北区)で開かれた。県内外から約700人が参加し、ハンセン病や人権問題への理解を深めた。

 ハンセン病療養所がある長島(瀬戸内市)の世界遺産登録を目指す運動の一環。笹川陽平・日本財団会長がハンセン病をめぐる国際情勢を語った後、俳優の竹下景子さんが入所者が作った詩や作文を朗読。竹下さんが、当時中学2年だった入所者が故郷や家族への思いを記した作文などを朗読すると、来場者は真剣に耳を傾け、すすり泣く声も聞こえた。

 パネルディスカッションには、国立療養所の長島愛生園(同)の山本典良園長や、家族がハンセン病だった奥晴海さん、ハンセン病訴訟弁護団の徳田靖之弁護士らが登壇。奥さんは親族からも差別や暴力を受けた体験を語り、「一番無責任なのは知らないままでいること。現地に行って、歴史を肌で感じてもらうことが大切」と訴えた。

 参加した早島町の大学生(23)は「詩や作文から、患者が人間として生きるために闘ったことを実感した」と当時の過酷な状況に驚き、母親の看護師(59)は「国民一人ひとりが、同じ過ちを起こさないために何ができるかを考えていくべきだと気づいた。そのためにも、世界遺産として形を残す必要があると思う」と話した。