高校生の息子を殺害された父 『元少年』らに1億5000万円の賠償求め「お金が欲しいわけじゃない。心から謝罪を」 刑事裁判で「精神障害」主張した元少年 判決で「精神障害はなかった」と断定

AI要約

14年前、神戸市北区で高校2年生の男子生徒が殺害された事件の遺族が元少年とその両親に損害賠償を求めて裁判を起こした。

殺害された男子生徒の遺族は精神疾患を理由に犯行の責任を回避していた元少年に対し、刑事裁判では納得できなかったため民事裁判を起こした。

元少年の主張と精神鑑定の結果から、神戸地裁は精神障害がなかったと判断し、遺族にとって真実が語られたとは思えず、謝罪も受け入れられなかった。

14年前、神戸市北区で高校2年生の男子生徒が当時17歳の元少年に殺害された事件の遺族が、元少年とその両親に損害賠償を求めて裁判を起こした。

2010年、神戸市北区の路上で高校2年の堤将太さんが殺害された事件では、2021年に当時17歳だった元少年が逮捕された。

元少年は殺意を否認していたが、ナイフで何度も刺したことなどから、神戸地方裁判所は2023年6月の裁判で殺意を認め、懲役18年の判決を言い渡し、元少年側が控訴している。

遺族は元少年と両親に対し、「元少年は子どものころから不満があると暴力に訴える傾向があったのに、両親が十分に監督せず、また事件直後に転居させ、犯行の発覚を遅らせた」などとして、合わせて約1億5000万円の損害賠償を求めていて、6月10日に裁判が始まった。

なぜ遺族は元少年やその両親に、民事裁判を起こしたのか。それは刑事裁判では、「将太さんがなぜ殺害されたのか」という問いへの答えや語られた謝罪が到底納得できるものではなかったからだ。

元少年と弁護側は、刑事裁判で犯行当時は精神疾患で、十分に刑事責任を問える精神状態ではなかったと主張していた。

将太さんの殺害に至るまでの経緯として語られたのは、元少年が高校時代に交際していた女性や周囲の人に暴力をふるったり、脅迫したりしていたということ。 元交際相手との関係が悪化してから次第に妄想や幻聴に襲われるようになったということだった。

そして将太さんについて、妄想や幻聴から「家の近くまでやってきた、自分を攻撃する不良グループの1人」と思ったと説明。また当時は「人を殺してはいけないと思っていなかった」などと精神障害の強い影響があったと主張していた。

しかし神戸地裁は、精神鑑定を担当した医師の証言などから、判決で「精神障害はなかった」と断定した。

元少年は謝罪の言葉も口にしたが、遺族にとって真実が語られたとは思えず、心からの謝罪とは受け止めることはできなかった。