改善命令3度の共済協同組合、定款にない「特別出資金」募る…「定期預金」うたい非組合員からも

AI要約

長崎県松浦市の松浦貯蓄共済協同組合が、定款に基づかない特別出資金を集めていたことが判明し、出資者が払い戻しを求めている。

組合は出資者に年3%の利息を払うと宣伝していたが、定款によると実態は異なり、組合員に出資金を貸し付ける業務を行っていた。

組合員と非組合員合わせて約60人が2億円の返金を求め、集団訴訟や刑事告訴を検討している。

 決算関係書類を適正に作成しないなどの問題が明らかになった長崎県松浦市の松浦貯蓄共済協同組合について、定款に基づかない「特別出資金」を集めていたことが、市の調査などで判明した。出資者には年3%の「利息」を払う「定期預金」などとうたっていた。(小松一郎、野平貴)

 定款によると、組合員は市内の小規模な商工、運送、サービス業などの事業者とされ、1口1万円の出資を原資に、資金が必要な組合員に貸し付ける事業を実施。2021年度の事業報告書によると、同年度末現在、組合員約480人からの出資金は計1億5000万円で、貸付金は計1億8000万円だった。

 市によると、20年度の決算関係書類が提出されなかったため、21年7月以降に行政指導を繰り返し行い、22年8~9月に立ち入り検査を実施。検査などの結果、定款に基づいていない特別出資金を組合員のほか、非組合員からも募っていたことが明らかになった。

 松浦商工会議所は出資した会員から相談を受けたため、会員を対象にアンケートや聞き取り調査を実施。約60の会員が、特別出資金約9400万円と出資金約7400万円を出資していたことが判明した。多くの会員が「(組合が)払い戻しに応じない」と訴えているという。

 組合が出資者に出した「特別出資金預証書」には「利息(配当)は年利3%」、「誓約書」には「特別出資金(定期預金)について、元金及び配当」を期限までに支払うと記載されており、預金と思った出資者もいた。

 払い戻しを求める組合員と非組合員の計約60人は24年5月、「出資者の会」を結成。計約2億円の返金を求めており、集団訴訟や刑事告訴を検討する方針だ。

 組合の田郷信男代表理事は読売新聞の取材に対し、「特別出資金のことは知らなかった」と話している。