共済協同組合に3度の業務改善命令…不適切な決算書類、出資者ら60人が2億円の払い戻し求める

AI要約

長崎県松浦市内の小規模事業の組合員に事業資金の貸し付けを行っている松浦貯蓄共済協同組合で、法令違反が発覚し市から業務改善命令が出されている。

約60人の出資者が払い戻しを求め集団訴訟を検討しており、市も返済を求め訴訟を起こしている。

組合は現在体制を立て直し、債権回収に努めながら今後のあり方を検討している。

 長崎県松浦市内の小規模事業の組合員に事業資金の貸し付けを行っている松浦貯蓄共済協同組合(田郷信男代表理事)で、決算関係書類を適正に作成しないなどの法令違反が明らかになり、監督する市が3度の業務改善命令を出していたことがわかった。「事業が遂行できない状況」として解散も視野に入れた検討を求める意見を付けている。出資者ら約60人が計約2億円の払い戻しを求めており、集団訴訟を検討する。

 組合は1963年設立。組合員は市内の小規模事業者で、2021年度事業報告書によると約480人。

 市によると、20年度の決算関係書類が提出されなかったため、21年7月以降、行政指導や立ち入り検査を実施。中小企業等協同組合法に反し、決算承認に必要な総代会を開かず、出資金や貸付金の台帳が不正確で、書類も適正に作成されていないことが判明した。市は23年12月に業務改善命令を出し、債権の早期回収や、解散を見据えた検討を求める意見も付したが対応が不十分で、今年2、4月にも命令を出した。

 脱退時などに受けられる払い戻しを訴える約60人は5月、「出資者の会」を結成。刑事告訴も検討する。

 一方、市は20年5月、2500万円を組合に貸し付けたが返済が滞り、残金約2100万円の一括返済を求めた。組合が応じず、市は長崎地裁平戸支部に提訴。7日の第1回口頭弁論で組合側は訴えの取り下げを求めたが、市は拒否した。

 田郷代表理事は読売新聞の取材に対し、「組合の体制を立て直し、債権回収に努めながら今後のあり方を検討したい」と話した。