規正法改正で何が変わる? パー券、政策活動費などメス「金持ちだけが政治家に」と懸念も

AI要約

自民党提案の政治資金規正法改正案は、透明性向上や罰則強化を重視している。具体的な制度設計は未定だが、実効性が求められる。

改正案の目玉は、政治資金の透明化を図る点だが、企業や団体のネームバリューや異議が懸念される。個人献金の税制優遇措置も検討されている。

政策活動費の開示や第三者機関の設置検討など、今後の検討課題も含まれている。また、確認書の作成義務化や連座制の導入など、議員の責任を強化する措置も取られる予定だ。

規正法改正で何が変わる? パー券、政策活動費などメス「金持ちだけが政治家に」と懸念も

6日に衆院を通過した自民党提案の政治資金規正法改正案は、政治資金の透明性向上や議員の罰則強化に重きを置いている。派閥の政治資金パーティー収入不記載事件の再発防止だけでなく、使途報告義務がなかった政策活動費などにもメスを入れたが、具体的な制度設計は検討にとどまった項目も多い。実効性が確保されなければ、「令和の政治改革」は絵に描いた餅に終わりかねない。

改正案の目玉は、パーティー券購入者の公開基準額の引き下げだ。現行の「20万円超」から「5万円超」に下げ、透明性を高める。一方、名前の公表を嫌う企業や団体が購入枚数を減らす可能性があり、自民内では「金持ちや組織お抱えの候補者以外、政治家になれなくなるのではないか」(ベテラン議員)と懸念の声も根強い。

個人献金を促進するための税制優遇措置の検討も盛り込まれたが、パーティー収入の減収分を補塡(ほてん)できるだけの金額が集まるようになるかは見通せない。政治家は収支のあり方の見直しを迫られることになる。

政党から議員個人に支給される政策活動費については、項目ごとの使い道や支出した年月を開示。領収書や明細書も10年後に公開する。現在は政党から議員に支払われた金額しか公開されておらず、野党から「ブラックボックス」と批判されていた。

政策活動費を監査する第三者機関の設置検討も明記されている。日本にはこれまで政治資金を見張る公的監視機関がなかった。ただ、設置時期やどんな権限を持たせるかの議論は今後の検討課題となっている。

いわゆる「連座制」の導入にも踏み切る。議員本人の責任強化のため、議員が政治資金収支報告書の内容を確認したことを示す「確認書」の作成を義務付ける。収支報告書に不記載や虚偽記載があり、確認書を交付していないか、確認が不十分だった議員は50万円以下の罰金を科され、公民権停止の対象となる。

また、収支報告書の不記載や虚偽記載があった場合、相当額を国庫納付できるようにする。このほか、所属議員に規正法違反があった場合に政党交付金を停止する制度の創設や、外国人のパーティー券購入規制検討も入った。(竹之内秀介)