【緊迫】「エンジンから火が見えた」貨物機が成田空港に緊急着陸…専門家に聞いたトラブルの原因と対応策とは

AI要約

アメリカ・ロサンゼルスに向けて飛び立った貨物機が成田空港に緊急着陸する事件が発生した。出火原因はエンジントラブルであり、専門家は排ガス温度上昇やバードストライクの可能性を指摘している。

パイロットは離陸直後にエンジンから火が出たと報告し、緊急事態を宣言。機体は銚子沖に燃料を投棄してから成田空港に緊急着陸した。

貨物機の着陸後、エンジン部分に損傷が見られたが、乗員にけがはなかった。エンジントラブルの原因はまだ明らかになっていない。

【緊迫】「エンジンから火が見えた」貨物機が成田空港に緊急着陸…専門家に聞いたトラブルの原因と対応策とは

4日午前、アメリカ・ロサンゼルスに向かって飛び立った貨物機が、成田空港に緊急着陸した。

パイロットからは「エンジンから火が見えた」という連絡もあった。出火原因について専門家は、「エンジンの排ガス温度が上昇したか、“バードストライク”の可能性がある」と指摘した。

4日午前の成田空港A滑走路の映像には、画面の左から離陸する貨物機の右側のエンジン付近から、赤い炎らしきものが吹き出す様子が捉えられていた。

離陸直後のエンジントラブルが発生したのは、4日午前に、アメリカのロサンゼルスに向けて成田空港を離陸したポーラーエアカーゴの貨物機で、パイロットは離陸からわずか2分後の10時18分に「右側のエンジンから火が出たように見えた。成田空港に引き返す」と連絡し、緊急事態を宣言した。

成田市内のゴルフ場から撮影した映像からも、上空を飛行する貨物機の右側のエンジン付近から赤い炎らしきものが吹き出したのが分かる。

動画の撮影者は、「遠くでパン、パンと音が聞こえたので、何だろうと思って空を見たら、飛行機のエンジンから火が噴いているのが見えたので、慌てて撮影しました」と話す。

貨物機の飛行経路を記録したフライトレーダーを見てみると、離陸直後に異変に見舞われた貨物機は、すぐに燃料を海上に投棄するために銚子沖へ向かい、何度も旋回していた。

海上に燃料を投棄した貨物機は成田空港に向かい、離陸から1時間あまりが経った午前11時26分に、成田空港のA滑走路に緊急着陸した。

着陸後の貨物機を見ると、エンジン後方に取り付けられたカバーの一部が壊れ、黒く焼け焦げていた。貨物機にはパイロットを含め4人が乗っていたが、ケガはなかった。

今回の貨物機のトラブルについて、元日本航空機長で航空評論家の小林宏之さんに話を聞いた。

小林さんは、貨物機から出た光について「瞬間的に発火した際の炎と見られる」と話し、エンジン右側部分の一部が破損していることについては「燃料室の後ろの排気の部分だと見られる」という。

今回の出火の原因について、まだ発表はされていないが、小林さんは映像をみるかぎり

・エンジンの排ガスの温度が上昇

・鳥がエンジンに突っこむ“バードストライク”

などが考えられるという。

また、右のエンジンから出火した場合の飛行については「影響はない。一つのエンジンがあれば、通常の操作で飛行は可能。傾かないように訓練していて、一つのエンジンで120分~240分飛行可能であるため、心配はない」と話す。

その後、成田空港へと向かった貨物機がなぜ、銚子沖で燃料を投棄したのだろうか?

実はこれは、着陸する際の事故を起こさないために非常に重要な作業だという。

小林さんによると「着陸する際の(航空機の)重量が決まっている。その最大着陸重量まで減らさなければならない。重量オーバーの場合、着陸時、装置にダメージが加わる可能性が大きい」と指摘する。

小林さんに「こういったトラブルに気づいたのが海上で、近くに空港がない場合はどうするのか」と聞いたところ、その点についても「基本的にどんな状況にあっても、緊急着陸空港が設定されていて、常に一番近くの空港に着陸できる態勢にあるため、海に着水することはない」と説明した。

(「イット!」6月4日放送より)