夫が「50代での早期退職」を考えており、正直困ります。年金月額が「15万円」らしいのですが、踏み切ってよいのでしょうか……?

AI要約

15万円の年金では夫婦の生活が困難であることが現実である。

不足する生活費の総額は膨大で、貯蓄額が足りない現実がある。

早期退職と繰上げ受給を組み合わせる場合は、年金額の減額も考慮する必要がある。

夫が「50代での早期退職」を考えており、正直困ります。年金月額が「15万円」らしいのですが、踏み切ってよいのでしょうか……?

年金が毎月15万円あれば、夫婦でも生活できる」と考えている方はいないでしょうか。一方で、「15万円の年金で夫婦が生活するのは無理だ」と考えている方もいるでしょう。

実際、過去そのように悩み、筆者のもとに相談に来た夫婦がありました。そこで、1月当たり15万円の年金が得られると知った方を想定して、そのような方は早期退職してもよいか、考えていきます。

そもそもですが、月額15万円で夫婦が生活することは、難しいのが現実です。総務省統計局の2023年度「家計調査報告」によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出は、月額25万959円です。

1月当たり15万円の年金だけを頼りに生活していては、それが丸々手取りだと考えても、毎月10万円程度が不足します。仮に50代から80代までの30年間を夫婦で生活するとしたら、不足する生活費の総額は3600万円と、莫大な額となります。

もちろんそれだけの額の貯蓄があれば問題ないのですが、なかなか50代でそれだけの額の貯蓄を有している世帯は存在しません。金融庁の「家計の金融行動に関する世論調査」によれば、世帯主が50代である全ての世帯における平均貯蓄額(金融資産を保有していない世帯を含む)は1212万円と、3600万円には及びません。

特に早期退職するとなると、「退職後に旅行などを楽しみたい」と考えている方もいるかもしれません。

生活費以外にも一定の支出が必要だと考えると、毎月生じる約10万円の不足分は、パートなどで稼ぐことを前提とするか、不足する生活費を補うだけの貯蓄を準備するかしなければ、生活は難しいでしょう。

もし、早期退職に合わせて年金を繰上げ受給しようと考えているのであれば、要注意です。月額15万円の年金額が、それ以下の金額に下がってしまいます。

年金は原則65歳からの受給となりますが、繰上げ受給をして受給開始時期を早めることで、最速で60歳から受け取ることができます。しかし、繰上げ受給では、1ヶ月繰り上げるごとに年金額が0.4%減額されます。仮に60歳から受給した場合、月額換算で15万円の年金は、11万4000円にまでさがります。

もし、「50代で早期退職したあとは生活費の不足を貯蓄で乗り切りつつ、年金は60歳から繰上げ受給する」というプランを考えているのであれば、年金の減額分も考慮する必要があります。