セレンディピティなデジタル基盤「Serendie」が三菱電機のDX戦略をけん引する

AI要約

三菱電機は2024年5月29日、経営戦略説明会で2021~2025年の中期計画進捗とDX戦略を発表。

売上目標を下方修正し、キャッシュジェネレーションは3.3兆円に減少。

各事業の施策やポートフォリオ戦略に変更はなく、自動車機器事業は分社化とEV市場への対応を進める方針。

1300億円規模の収益力改善事業がある一方、撤退や売却を決定した事業もある。

2025年度目標は売上5兆円超、営業利益率8%以上などであり、目標修正の理由を説明。

キャピタルアロケーションは変更なしで3.4兆円に維持される。

最適化と変革を進める事業体制改革により、収益性や資産効率向上を目指すポートフォリオ戦略。

自動車機器事業のスピーディーな事業運営体制構築や選択と集中の取り組みが進められている。

セレンディピティなデジタル基盤「Serendie」が三菱電機のDX戦略をけん引する

 三菱電機は2024年5月29日、オンラインで開催した経営戦略説明会「IR DAY 2024」において、2021~2025年度の中期計画の進捗状況を説明するとともに、今後のDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略をけん引するデジタル基盤「Serendie」を発表した。

 今回、中期計画の最終年度に当たる2025年度の目標について、前回発表から利益面を中心に下方修正した。売上高は変更なしで5兆円超、営業利益率は10%から8%以上、ROEは10%から9%、5年累計のキャッシュジェネレーションは3.4兆円から3.3兆円となっている。三菱電機 執行役社長 CEOの漆間啓氏は「FA、空調の事業環境が足元で大幅に悪化している。2024年度以降は回復基調であるものの、短期的には中期計画の想定水準には及ばないため目標を見直すこととした」と語る。

 なお、5年間累計のキャッシュジェネレーションは3.3兆円に減るものの、その使い道に当たる5年間累計のキャピタルアロケーションは株主還元を含めて3.4兆円に変更はない。

 また、各事業の特性に見合った施策を実施して収益性や資産効率の向上を図る事業ポートフォリオ戦略については、FAシステム、ビルシステム、空調冷熱、パワーデバイスを重点成長事業とする方針に変更はない。収益力強化が課題となっているインフラBA傘下の社会システムと電力システム、防衛/宇宙システムは、生産体制の最適化や事業体制の変革を進め、防衛事業とソリューション事業に資源配分を行う。

 課題事業に挙げられる自動車機器事業は、2024年4月から三菱電機モビリティとして分社化し、意思決定プロセスを簡素化してスピーディーな事業運営体制の構築を目指す。また、カーマルチメディアの早期終息やICE(内燃機関)事業の出口戦略の明確化といった選択と集中を進めながら、2024年5月に発表したアイシンとの電動化事業のパートナー戦略によって今後のEV(電気自動車)市場の成長を捉えていく方針である。

 なお、課題事業全体としては、1300億円規模の事業が利益率10%を達成して収益力改善を果たした一方で、カーマルチメディアや配電用変圧器に代表される売上高3900億円規模の事業は撤退や売却を決定している。