トラック依存が高い北海道の物流問題、解決のカギは「異業種」の共同輸送

AI要約

北海道内でトラックドライバー不足による物流の停滞を防ぐため、「共同輸配送」を推進する取り組みが進んでいる。

共同輸配送による積載効率の向上が目指され、異業種間での協力が重要視されている。

道内の物流に必要な輸送力を確保するため、地域や業種を超えた連携が求められている。

トラック依存が高い北海道の物流問題、解決のカギは「異業種」の共同輸送

トラックドライバー不足による物流の停滞を防ぐため、異業種同士による「共同輸配送」を後押しする動きが北海道内で進んでいる。北海道経済産業局は5月28日、業種の異なる企業同士が商品の輸送などを共同で行うためのマッチング事業を、北海道開発局や北海道運輸局、道内自治体と開始すると発表した。共同輸送で連携できる可能性が高い事業者同士が情報交換できる場を設けるなど、これまで接点のなかった企業間の連携を後押しする。道内トラック輸送全体の積載効率を50%まで引き上げ、ドライバー不足による将来的な輸送力減少に備える狙いだ。

北海道内の物流は、トラック輸送が98.0%(全国平均88.8%)を占めるなど、依存度が特に高い地域だ。一方、野村総合研究所の試算によると、このまま何も手を打たなければ2025年には13%、30年には27%のドライバー不足が発生する見込みとなっている。

こうした状況を打開するための一手と期待されているのが、共同輸配送による積載効率の向上だ。北海道内における営業用トラックの積載効率は35%と全国の39%と比べても低い。65%は荷物を載せず、「空」の状態で運行している事になる。北海道経済産業局では、積載効率を50%まで引き上げることができれば、30年にドライバーが27%不足しても、道内の物流に必要な輸送力を確保できるとみている。そのカギを握るのが、「異業種」間による共同輸配送だ。

北海道内で特に輸送効率が低いのが、道内各地から道央圏に向かうトラック。野村総研がまとめた、道内小売・卸売業が運行するトラックの積載効率をみると、道央圏から道内各地に商品を輸送するトラックの積載効率は、おおむね80%台半ばで推移する。一方、復路は「空車」の運行が目立ち、道央圏へ戻るトラックにいかにして荷物を積むかが、輸送効率向上に向けた大きな課題となっている。

同局が道内企業80社を対象に行った調査では、45社がすでに「共同配送を実施している」と回答した。このうち25社は同業種間での連携にとどまっているという。往路、復路ともに積載効率を高めるためには、地域や業種をまたいだ連携が欠かせなくなる。

同局では「異業種による共同輸配送は、経営者同士が知り合いだったなど偶然という要素が強い。(行政として)しっかりと場を作り、進めていきたい」(岩永正嗣局長)としており、地元自治体などとも連携して、共同輸送に向けた民間企業同士の連携を加速させていく方針だ。