お手軽「缶ワイン」、一人飲みで人気…購入しやすく開栓の手間かからず

AI要約

市場で注目を集める飲みきりサイズの缶入りワイン。コロナ禍での一人飲み需要に応え、大手メーカーが新商品を投入し、売り上げを伸ばしている。

メルシャンやサントリーなどが缶入りスパークリングワインを展開し、特に女性の需要を開拓している。価格も手頃で購入しやすい。

国内のワイン市場は縮小傾向だが、缶入りワイン市場は拡大。単身世帯や共働き世帯の増加、簡便化志向の高まりが背景にある。

 飲みきりサイズの「缶入りワイン」が、市場でじわりと存在感を高めている。コロナ禍で増えた家庭での「一人飲み」需要をとらえ、販売額は増加傾向だ。国内のワイン市場全体が縮小する中、ワイン大手は缶入りの新商品を投入して巻き返しを図っている。

 メルシャンは28日から、缶入りロゼスパークリングワインの新商品2種を全国で発売する。280ミリ・リットル入りで、税込み想定価格は400円程度と、缶入りワインとしてはやや高めだが、30~40歳代女性の「プチぜいたく」需要開拓を図る。

 昨年8月に発売した缶入りスパークリングワインの売り上げも好調で、2023年は年間販売目標の約1・3倍を売り上げた。

 サントリーも昨年9月、税込み想定価格200円前後で缶入りスパークリングワインを発売した。今年7月には期間限定でロゼも発売予定だ。セブン&アイグループの店舗向けには、「アンドワイン」シリーズ4製品を展開している。担当者は「缶入りワインを強化して市場を盛り上げたい」と意気込む。

 缶入りワインは1本280~350ミリ・リットルの製品が多く、一人でも飲みきりやすい。コンビニで数百~1000円程度で販売されている750ミリ・リットルのボトルワインに比べ、価格面でも購入のハードルは低い。瓶入りと異なり栓を開ける手間がかからず、容器もリサイクルしやすい。

 調査会社インテージによると、国内のワイン販売額は20年の1451億円が直近のピークで、23年は前年比3・8%減の1241億円まで落ち込んだ。酒税改正や、急激な円安で値上がりした影響が大きい。サワーなど缶を開けてすぐに飲める「RTD(レディー・トゥー・ドリンク)」の人気にも押されている。

 一方で23年の缶入りワインの販売額は34億円と、17年の約2・5倍に拡大した。特にスパークリングワインは前年比62・8%増と大幅に伸び、市場を支えている。

 インテージの木地利光アナリストは、「単身世帯や共働き世帯が増え、簡便化志向が高まったことが缶入り人気の背景にある。有望な市場として、この流れは続くだろう」と指摘する。