ウクライナ支援にロシア凍結資産利用する米国案、ドイツが支持に転換

AI要約

米国がロシアの凍結資産を活用し、ウクライナ支援に500億ドルを投入する計画について、ドイツ当局者も支持を表明。

支援パッケージは11月の選挙結果にかかわらず実施され、重要な経済支援となる見通し。

欧州諸国も支援案に好意的であり、最終合意はG7首脳会議までには得られない見込み。

(ブルームバーグ): ロシアの凍結資産で将来得られる利益を500億ドル(約7兆8000億円)規模のウクライナ支援に利用するという米国の計画について、ドイツ当局者は態度を一変させ、支持する用意がある。事情に詳しい関係者が明らかにした。ロシア凍結資産の多くは欧州に滞留している。

ウクライナへの新たな大規模支援パッケージで米国とその同盟国が結束し、11月の大統領選結果にかかわらず米国の関与を確保する上で、ドイツの同意は重要な一歩になり得る。

米国と欧州の当局者によると、米提案への支持が広がりつつあり、23日からイタリアのストレーザで開かれる主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で中心的な議題となる見通しだ。

だが、ドイツの当局者は6月13-15日のG7首脳会議まで最終合意があるとは見込まず、実施も来年以降になると考えていると、匿名を条件に関係者が語った。

国防支出と債務返済に追われるウクライナにとって、来年末までの財政運営にはこの支援が死活的に重要だ。戦争に収束の兆しが見られず、ロシア軍が占領地を広げる中で、ウクライナを強く支持する諸国は同国への中期的な財政支援を確保し、G7のウクライナ支持は揺るがないとのシグナルをロシアに送ろうとしている。

米国は数カ月にわたり、ウクライナ支援にロシア凍結資産の活用を呼びかけてきた。その方法として、資産を押収してウクライナに引き渡す、証券化して債券を発行する、ある種のローンの裏付け資産として利用する、などの選択肢が挙がっていた。

こうした案に欧州諸国の一部は懐疑的で、フランスやドイツなどはそのような動きが金融の安定性や準備通貨としてのユーロの魅力に及ぼす影響、合法性などに懸念を示していた。

だが、最新の米国案にはドイツを含む欧州諸国により好意的に受け止められていると、複数の当局者は述べた。原資産を差し押さえることなしに、その資産が生む利子だけを利用するものであることが理由だという。