相続した「田舎の土地」、売却しても大した金額になりません。早く「処分」したいのですが、どうしたらいいですか?あまり費用をかけたくありません

AI要約

相続した山奥の土地を処分する方法として、相続土地国庫帰属制度が導入されたこと。相続土地国庫帰属制度の申請条件や手続き、費用などの詳細。所有者不明土地の問題や増加要因、制度導入の背景など。

相続した「田舎の土地」、売却しても大した金額になりません。早く「処分」したいのですが、どうしたらいいですか?あまり費用をかけたくありません

Aさんは親から山奥の土地を相続しました。しかしその土地は、斜面が多く整備されておらず、店だけでなく人通りもないため、持て余している状況だそうです。

売却も考えましたが、査定の結果大した金額にならなかったそうで、あまり費用をかけずに処分する方法が知りたいとのご相談です。

相続のときに土地の登記が行われないなどの理由により、不動産登記簿を確認しても所有者が分からない土地、または所有者は分かっていてもその所在が不明で所有者に連絡がつかない土地のことを所有者不明土地といいます。

このような土地が日本各地で増加しており、2022年度に地方公共団体が実施した調査では、全国で24%の土地が所在者不明土地で、今後さらに増えていくと予想されています。所在者不明土地が増えている原因として、使い道がなかったり、手放したいけれど売却ができなかったりするということがあります。

そこで、所有者不明土地の発生を予防するために、創設されたのが、「相続土地国庫帰属制度」 (2023年4月27日施行)です。

「相続土地国庫帰属制度」は、相続または遺贈((注1)によって宅地や田畑、森林など、土地の所有権を相続した人が、一定の要件を満たした場合に、費用を払うことにより土地を手放して国に引き渡す(国庫に帰属させる)ことができる新しい制度です。詳しく見てきましょう。

■1. 申請権者

基本的には、相続や遺贈によって土地の所有権を取得した相続人であれば、誰でも申請できます(本制度の開始前に相続した土地でも申請できます)。また、兄弟姉妹など複数の人たちで相続した共同所有の土地でも申請ができます。

ただし、このケースでは、所有者(共有者)全員で申請する必要があります。なお、生前贈与を受けた相続人、売買などにより自ら土地を得た人、法人などについては、相続や遺贈で土地を取得した相続人とならないため、申請ができません。

■2. 土地の要件

(1)申請の段階で却下となる土地(注2)と、(2)該当すると判断された場合に不承認となる土地があります(注3)。

(1)申請の段階で却下となる土地

A 建物がある土地

B 担保権や使用収益権が設定されている土地

C 他人の利用が予定されている土地

D 特定の有害物質によって土壌汚染されている土地

E 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地

(2)該当すると判断された場合に不承認となる土地

A 一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地

B 土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地

C 土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地

D 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地

E その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地

■3. 費用

申請する際には、1筆(注4)の土地当たり1万4000円の審査手数料を納付する必要があります。さらに、法務局による審査を経て承認されると負担金(注5)を納付します。負担金は、1筆ごとに20万円が基本となります(注6)。