ソニー・ホンダのEV、アニメ配信の「クランチロール」導入 体感型エンタメ空間へ発展も

AI要約

ソニー・ホンダモビリティはEV「AFEELA」の北米向け車両に、米クランチロールのサービスを導入すると発表。

最新試作車では立体音響技術や大画面スクリーンを搭載し、エンターテインメント体験を向上させる。

市場競争が激化する中、アフィーラの商品力強化が必要とされている。

ソニー・ホンダのEV、アニメ配信の「クランチロール」導入 体感型エンタメ空間へ発展も

電気自動車(EV)専業のソニー・ホンダモビリティは20日、来年前半から先行受注を始めるEV「AFEELA(アフィーラ)」の北米向け車両に、ソニーグループ傘下のアニメ配信大手、米クランチロールのサービスを導入すると発表した。アフィーラが備える大画面スクリーンや立体音響技術と、クランチロールの豊富なコンテンツの相乗効果で、車内でのエンターテインメント体験の魅力を高める。

■演奏会並みの立体音響

ソニー・ホンダモビリティは同日から23日まで、開発中のアフィーラの最新試作車「2024年モデル」を国内で初展示するイベントを六本木ヒルズ(東京都港区)で開催、報道向けに装備のデモなども行った。

立体音響機能は「360リアリティオーディオ」と呼ぶソニーの技術で、車への導入はアフィーラが初めて。音そのものに位置情報や動きの情報を持たせることができるため、車内で管弦楽を聞くと右からチェロ、左からバイオリンと、演奏会の舞台を目の前にしているように楽器の位置に対応して音楽が広がっていく。

前席のフロントエリアの左右幅いっぱいに広がる「パノラミックスクリーン」はタッチ操作でさまざまな機能やコンテンツサービスを選択・表示できる。画面サイズはあくまで車内サイズだが、動画コンテンツを映画館並みの音響で楽しめる仕掛けだ。

また、今後の開発テーマとしてシートへの振動機能などの導入も検討する構えで、最新の体感型(4D)映画館をイメージさせる独自の車内エンターテインメントシステムが実現する可能性もありそうだ。

■市場厳しく商品力強化必要

ソニーグループとホンダが出資するソニー・ホンダモビリティは、北米で2023年初めにアフィーラの最初の試作車を発表。当時はEV市場の拡大期待が強かったが、足下では成長ペースが鈍化し、米フォード・モーターや独フォルクスワーゲン(VW)などEVへの転換を推進していた欧米メーカーは相次ぎ戦略修正に動いている。

比亜迪(BYD)の台頭や華為技術(ファーウェイ)、小米科技(シャオミ)といったIT大手の参入など中国企業のEV攻勢もあり、いまだ試作車にとどまっているアフィーラへの市場の期待感は以前に比べてしぼんでいる。