円安で苦しんだ100円ショップ、円高で勝つのは? 上場している企業3社【セリア】【キャンドゥ】【ワッツ】の有望株を探る

AI要約

100均グッズ特集の記事を読んでセリアに行くと人が多い状況。100円商品の維持が厳しくなる中、円高の影響で追い風となる可能性。

三社(セリア、キャンドゥ、ワッツ)の株価を比較。セリアが売上と利益で圧倒的な優位。セリアの原価率は他社よりも低く、商品ラインナップやスケールメリットが要因。

セリアは食品の比率を下げ、自社商品を増やすことで原価率を抑えている。スケールメリットも要因。他社とは異なる商品ラインナップとデザインが差別化を図っている。

円安で苦しんだ100円ショップ、円高で勝つのは? 上場している企業3社【セリア】【キャンドゥ】【ワッツ】の有望株を探る

とあるWEB記事で、旅行に便利な100均グッズ特集を見かけ、「なるほど、これは便利」とさっそく最寄り駅の近くにあるセリアに行ってみたところ、想像以上に人が多く驚きました。

投資家目線で見ると、これだけ物価が上昇する中、100円を維持するのは相当厳しく、利益率の低下が危惧されます。一方、消費者目線で見ると、「何もかもが値上げする中、100円で買えるなんてなんとありがたい!」と、まったく真逆の評価になります。

ただ、最近は、原材料の価格に大きく影響する為替が、いっときの1ドル160円台から140円ぎりぎりのラインまでドル安円高となっています。これは、今まで苦しんできた百均ストアにとっては、かなり追い風となります。となれば、今後の株価上昇も期待できるかもしれません。

そこで、上場している百均企業3社(セリア、キャンドゥ、ワッツ)の株をこれから買うとしたら、どこが有望か考えてみましょう。

百均の市場希望ですが、緩やかに右肩上がりを続けており、2023年度には1兆円を突破しました。コロナ禍の巣篭もり需要と、物価上昇による消費者の節約志向が、市場規模拡大に寄与しています。

では、3社それぞれの売上と利益を比較してみましょう。

一目瞭然、売上規模も営業利益率もずば抜けてセリアが優秀です。じつは、ほか百均企業が、200円、300円といった、高単価商品を強化する中、セリアだけは、100円を死守。それでも営業利益率6%台を維持しているのは驚異的です。

セリアの営業利益率がほか2社に比べて高い理由は、売上総利益率(粗利)の高さにあります。つまり原価率が低いということです。

実際に直近の損益計算書で確認してみます。

セリアの原価率

①売上原価34174(百万円)÷②売上高58115(百万円)×100= 58.8%

キャンドゥの原価率

①売上原価13074(百万円)÷②売上高20920(百万円)×100= 62.4%

ワッツの原価率

①売上原価28062(百万円)÷②売上高45604(百万円)×100= 61.5%

セリアの原価率は、ほか2社より3%以上、低いことがわかります。たった3%と感じるかもしれませんが、販売価格が100円と安い百均ショップにとっては、その差は大きな違いです。

セリアの原価率が低い理由は、商品のラインナップを見れば分かります。

ひとつめの理由は、セリアの売上高に占める食品の割合が低いことです。2006年3月期には売上高の17%を占めていたお菓子の割合が、直近は1%にまで低下。お菓子の割合を減らす代わりに、自社商品の雑貨を増やすことで原価率を抑えているのです。

ふたつめの理由は、スケールメリットだと推測できます。ほか2社に比べて売上高は2倍以上です。商品を仕入れるにあたって、規模が大きいほど、値引きしてもらいやすくなるため、原価率を他社より抑えることができているのでしょう。

お菓子のほかにも商品ラインナップは三者三様です。

セリアは、手芸用品や、推し活グッズなどオリジナルの品揃えが豊富です。デザイン重視のため、わりと若者や女性に人気。キャンドゥは、イオン内に店舗があることもあってか、バランスのよいラインナップで幅広い消費者層に強く、ワッツは、タレントのコラボ商品や、オリジナルコスメなどが充実しています。