株で儲ける人と損する人「売買のタイミングに決定的な差」

AI要約

『株トレ ファンダメンタルズ編』は、株の知識を投資シミュレーションの感覚で学べる待望の続編であり、業績や財務の読み方をわかりやすく解説している。

記事では、大手医薬品会社の株価が副作用懸念によって変動する状況が例として提示され、投資判断の重要性が強調されている。

投資判断をする際には過去の行動にとらわれず、現在の情報に基づいて冷静に判断することが重要であることが説明されている。

株で儲ける人と損する人「売買のタイミングに決定的な差」

 個人投資家の間で大きな支持を集めるベストセラー『株トレ 世界一楽しい「一問一答」株の教科書』、待望の続編『株トレ ファンダメンタルズ編』が発売された。「この株は売り? それとも買い?」「どっちの株を買う?」投資シミュレーションの感覚でクイズを解くうちに株の知識が自然と身につく1冊だ。前作ではチャート分析がテーマだったが、今作では業績や財務の読み方をわかりやすく解説する。著者は、ファンドマネジャー歴25年、2000億円超を運用してTOPIXを大幅に上回る好実績をあげたスペシャリストの窪田真之氏。本稿では本書から特別に一部を抜粋して紹介する。

● この株は、買い、売り、様子見?

 大手医薬品F社株を7ヵ月前、2200円で100株買いました。

 がんの治療効果を高める画期的新薬を発売したことから成長株と期待。株価はその後2800円まで上昇しました。

 ところがその直後、F社の新薬を投与した患者が死亡する事例が報告され、副作用への懸念が持ち上がりました。

 この報道を受けて株価はじりじり値下がりしてきたので、2600円で100株を売りました。

 その直後、「F社新薬に問題となる副作用はない。薬剤投与と患者の死亡に因果関係がないことが判明」と報道があり、株価は急反発。

 F社は、買い、様子見、空売り?

 正解:買い

● 売買高増加を伴う株価急騰は「買いシグナル」

 F社株は、売買高が大幅に増加して、高値を更新しています。テクニカル分析で、さらなる上昇が見込めます。副作用の不安が消えたので、

 ファンダメンタルズ分析でも、成長株として再評価して良いと思います。

 ただし、ここでF社株を素直に買い戻せる人はあまりいません。2600円で売ってしまっているからです。

 「2600円で売ってしまって残念」という気持ちがあるので、2900円で買うことができないのです。

 過去の売り値や買い値にとらわれず、現在の投資判断に素直に従って売買できるようになれば上級者です。

 私はファンドマネジャー時代、このクイズのような局面に何度も出会いました。こういうケースでは、迷うことなく、売値を大きく上回る株価で買い戻しました。

● 副作用について十分な情報がないので「様子見」でもOK

 「問題となる副作用はないという報道だけでは情報として不十分」と考えて、様子見を選んだ方も間違いとは言えません。

 治療効果の高い新薬には、常に副作用の不安が伴うからです。一般的に薬効が高い薬ほど、副作用が大きくなります。

 近年は、薬効が高くても、副作用が懸念される新薬は承認されない傾向が強まっています。

 F社の新薬は、定められた治験を経て、厚生労働省に承認されているわけですから、その時点で「問題となる副作用はない」と判断されています。

 ただし医療現場では、承認されたばかりの画期的新薬をすぐ使うことに慎重です。新薬を実際に使ってみた医療機関からの評判を聞きながら、少しずつ使用が拡大していきます。

 その過程で、副作用や薬効について、さまざまな報告が出てきます。新薬をリリースした会社の株は、そういう情報に反応して乱高下します。

 (本稿は、『株トレ ファンダメンタルズ編』から抜粋・編集したものです。)