【初めての米国債の選び方】「ストリップス債」と「利付債」で購入時の価格が異なる仕組み どちらも満期まで保有すれば額面上の損失はないが為替リスクに注意

AI要約

株式市場が不安定な中、比較的安定している債券をポートフォリオに組み入れるために米国債の買い方を解説。

債券の仕組みや米国債の種類、購入時のチェックポイントなどを具体的に説明。

米国債を購入する際の注意事項や選び方についても解説。

【初めての米国債の選び方】「ストリップス債」と「利付債」で購入時の価格が異なる仕組み どちらも満期まで保有すれば額面上の損失はないが為替リスクに注意

 株式市場が不安定な中、比較的安定している債券をポートフォリオに入れるという考えがある。債券の中でも特に人気なのが「米国債」だが、どのように買うことができるのか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第109回は、「米国債の買い方」について。

 * * *

 最近、米国債を買いたい、もしくは買ったという人が周りで増えてきました。株式市場が不安定な中、比較的安定している債券をポートフォリオに組み入れたいと考えているようです。米国債は、ネット証券などで、直接買うことができます。

 復習もかねて、まずは債券のしくみをお伝えします。

 債券は、国や地方公共団体、企業などが資金を投資家から借り入れるために発行する有価証券の一種です。あらかじめ満期日が決められており、そこまで保有すればお金は全額戻ってきます。また、決められた利率での利息が、受け取れます。

 ただし、債券を発行した機関(発行体)が潰れてしまうと、お金は戻ってきません。そのため、発行体の信用度が高いほど、利率は低くなります。

 債券は、新しく発行されたものを新発債、すでに発行されているものを既発債といいます。わたしたちが米国債を買う場合、既発債を買うことになります。

 米国債は、SBI証券、楽天証券、マネックス証券など主要なネット証券で買うことができます。

 各証券会社の既発債券一覧から、米国債券を選びますが、その際のチェックポイントは下記になります。

【1】ストリップス債か利付債か

 米国債には、最初から利息分を割り引いた金額で販売され、満期になると額面の金額が受け取れる「ストリップス債」と、保有している間に定期的に利息が入ってくる「利付債」があります。

 たとえば、額面価格100円で、利息は年間10円、3年満期の債券としたら、3年間で受け取る利息は30円になります。ストリップス債は、最初からその30円を引いて70円で販売し、満期になれば100円受け取ります。利付債は、100円で購入し、毎年10円ずつ受け取り、満期に100円戻ってきます。どちらも利益は30円ですので、同じです。定期的に利息を受け取りたいか、まとめて受け取りたいか、お好みですが、個人的には、元手の資金が少なくてすむストリップス債をおすすめします。

【2】利率と利回り

 利付債には、利率が記載されていますが、この数字は、自分にとっての利回りとは違います。既発債の場合は、額面価格(発行価格)で購入するわけではなく、そのときの時価になりますので、購入価格によって利回りは変わってきます。

 たいていの証券会社では、買い付け単価が記載されています。これは「新規発行時の額面価格の何%」で表示されていることが一般的で、100%以下の場合は、額面価格より安く買い付けるので、利率より利回りが高くなります。

【3】残存期間

 残存期間は、1年以内から20年以上とさまざまです。償還日を待たずに売却することもできますが、基本的には、満期まで持つつもりで残存期間を選ぶといいでしょう。