前回のリセッションから15年 投資家よ、「備え」は万全か

AI要約

私たちはマーケットに対する罪を告白する、15年間の景気後退から何事もなし。

リセッションの定義と、株式市場との関係について考察。

リセッションは避けられず、影響は状況によって異なる。

前回のリセッションから15年 投資家よ、「備え」は万全か

「どうぞマーケットのお恵みがいただけますように。なぜなら我々は罪をおかしたからです(Bless Me Market, For We Have Sinned)」。カトリック信者が、告解室(司祭に自分の罪を告白し、神のゆるしを得るための部屋)で話を始めるときの言葉に似ているが、投資家たちが「罪」を告白する相手は、司祭ではなくマーケット(市場)だ。そして、投資家たちの「罪」とは、「前回起きた本当の景気後退(リセッション)から15年、何事もなく過ごしてきた」ことになるだろう。

確かに、その間、コロナ禍に伴う景気の減速や、さまざまな市場の乱高下は経験してきた。しかし、それらは主に政府が引き起こしたものだった。

次のリセッションまでのスパンとして、いまの期間は史上最長といえる。そこで、リセッションとは何かを改めて考えてみたい。株式市場は通常どのように反応するのか、そして投資家が最善の結果を願いつつ、最悪の事態に備えるにはどうすればよいのか、ということを。

リセッションとは一般的に、ある国の国内総生産(GDP)が2四半期連続でマイナス成長になることと定義される。しかし、米国のリセッションを公式に判定する組織である全米経済研究所(NBER)は、もっと細かい見方をしている。雇用、実質所得、工業生産、卸売・小売売上高などの要素を、GDPと併せて考慮するのだ。

リセッションは、景気循環の一局面として自然に発生するものであり、一般的には次の特徴を備えている。

・経済生産の減少

・失業率の上昇

・個人消費の減少

・企業投資の減少

米金融大手、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOはかつて、「リセッションは、天候と同様に避けることができない。問題は、起こるかどうかではなく、いつ、どの程度深刻なものが起こるかだ」と述べた。

株式市場とリセッションには、複雑な関係がある。多くの場合、株式市場は景気の先行指標として機能する。つまり、リセッションが正式に始まる前に下落して、リセッションが終わる前に回復する。通常は、次のような流れをたどる。

・リセッション前:市場は多くの場合、景気の後退局面が始まる6~12カ月前にピークに達する

・リセッション中:景気後退期に、株価は平均で約30%下落する

・回復期:市場は通常、景気の後退局面が終わる3~6カ月前に底を打つ

とはいえ、リセッションは1回1回が別物であり、市場の動きも大きく異なる可能性があることを忘れてはならない。2008年の世界金融危機では、S&P500種株価指数が50%以上下落したのに対し、2020年の新型コロナ不況では、市場が速やかにV字回復した。