本格オフローダーに魔改造されたポルシェ「911」“意外な価格”で落札された理由とは? 中古車市場で「ダカール」仕様は評価されないのか?

AI要約

ポルシェ「911ダカール」は、世界限定2500台の貴重なモデルで、現在中古相場は5000万円強に上昇している。

ファイブナインデザインズが手がけた「911ダカール」仕様は、ポルシェ911カレラをベースにオフロード仕様にカスタムされ、5000マイル弱を走っている。

アメリカの自動車オークションサイトで13万8000ドルで落札されるなど、カスタムコストを考えるとお得な価格といえるが、中古市場ではノーマルモデルが主流である。

本格オフローダーに魔改造されたポルシェ「911」“意外な価格”で落札された理由とは? 中古車市場で「ダカール」仕様は評価されないのか?

 ポルシェ「911ダカール」は、世界限定2500台という貴重なモデルです。

 日本仕様の「911ダカール」は、新車時の車両本体価格が消費税込で3099万円でした。しかし今、日本を含めた世界的な中古車相場は5000万円強に跳ね上がっています。新車で買えた人はラッキーですが、ほとんどの人は新車のオーダーさえも受けつけてもらえなかったことでしょう……。

 そんな「911ダカール」は買えないけれど、「911」で軽くオフロードもこなしたい……という人向けに、アメリカ・フロリダ州ジャクソンビルにあるファイブナインデザインズというカスタムショップが、「911ダカール」仕様を手がけています。

 そんな「911ダカール」仕様、ショップのデモカー、もしくはショップの顧客が乗っていた車両がアメリカのオンライン自動車オークションサイトBring a Trailorに出品され、話題を集めました。ベースモデルは2021年式のポルシェ「911カレラ」です。

●カスタムショップが手がけた「911」の本格オフロード仕様だが……

 この当該車両、パッと見、バハ・デザインズ製の補助ライトがインパクトを与えてくれます。

 18インチのロティフォーム製ホイールにトーヨータイヤ製「オープンカントリーA/T」タイヤが装着されており、厚みあるタイヤがオフロード走行をイメージさせます。

 また、車体の保護のため、アンダーボディの前後にはスキッドプレートが取りつけられています。リアのダックテールもさりげない変更ポイントといえるでしょう。

 サスペンションは、モーション・コントロールシステム製のものでリフトアップされており、コントロールアームも改良されています。これにより、オフロード性能が向上させているはずです。

 エンジンと排気系にも手が加えられており、シャークワークス製のエキゾーストシステムが新たに装着されています。それに伴い、エアフィルターはBMC製のものに変更され、ECUのマッピングもメイス・エンジニアリングによって最適化されています。さらに、ポルシェ・ダイナミックシャシー・コントロールシステム・スポーツはバイパスされています。

 一方、インテリアは特段、変更されていない様子。新車発注時のオーダーであろう、グリーンのシートベルトとシート背面のグリーンのアクセント塗装が、さりげなくおしゃれな雰囲気を醸し出しています。

 前オーナーは3000マイル(約4828km)走破したそうで、現在の走行距離は5000マイル強。入札は旺盛でしたが、結果として13万8000ドル(約1940万円)で落札されました。

 この価格は、アメリカでの「911カレラ」の中古相場とほとんど同じ。「911ダカール」仕様をつくるために投じたコストを考えれば、お得なオークション結果といえそうです。と同時に、中古車市場における“ノーマル至上主義”が露呈したようにも感じます。