ECB当局者、追加利下げに論拠 伝達方法巡り見解割れる

AI要約

欧州中央銀行(ECB)のレーン専務理事兼主任エコノミストは段階的な利下げを続けるべきとの見解を示し、経済指標に基づく段階的な緩和が適切であると述べた。

一方、他の当局者は経済の不確実性が高まる中で急速な利下げにはリスクがあると指摘し、来る12月までの追加利下げを慎重に検討すべきだと主張している。

労働コストの上昇に関するデータが示された中、インフレ目標を上回る数字が出ており、金融政策運営には慎重な見極めが求められている。

ECB当局者、追加利下げに論拠 伝達方法巡り見解割れる

[フランクフルト 16日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のレーン専務理事兼主任エコノミストは16日、ECBは段階的な利下げを続けるべきとの見解を示した。ただ、他の当局者の間から、経済の不確実性が高まる中、ECBが利下げの意図をどのように伝えるべきか、異なる見解も示された。

レーン氏は講演で「今後発表される経済指標が基調的な予測と整合的なら、制約的な金融政策の段階的な緩和が適切になる」と述べた。同時に、経済が停滞したり、ディスインフレが加速したりすれば、利下げを加速させる必要がある一方、予想外に逆の方向への動きが出れば、利下げを緩めなくてはならないとし、「(政策)調整のペースに選択の余地を残す必要がある」と語った。

ECB理事会メンバーのカジミール・スロバキア中銀総裁はブログへの投稿で、2025年末までにインフレが目標水準に戻ると示す確かなデータが必要だとし、急速な利下げにはリスクがあると指摘。「10月の理事会での追加利下げを支持するには、見通しに関する大きな変化や、強力なシグナルが必要だ」とし、「状況が一段と明確になる12月まで、次の行動を起こすのを待つ必要があるのはほぼ確実だ」と述べた。

欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)によると、第2・四半期の労働コストは前年同期比4.7%上昇。伸びは前四半期の5.0%から鈍化したが、ECBがインフレ目標と整合的と見なす3%をなお上回っている。

デギンドスECB副総裁は、急速なインフレで労働者の購買力が大幅に低下した後、賃金がようやく追いついているのが現状だとし、来年は労働コストの伸びは大きく鈍化するとの見方を示した。

デギンドス氏もレーン氏と同様に、金融政策運営を巡りあらゆる選択肢を残しておく必要があるとの考えを示している。

ECBは12日に開いた理事会で0.25%ポイントの利下げを決定。その約5週間後の10月17日に開く次回理事会で追加利下げが決定される確率は、現時点で25%程度となっている。